ルセンティス 臨床成績に関して

本剤は国内臨床試験及び外国臨床試験成績を基に評価され国内で承認されました。以下で紹介する臨床試験成績には、承認範囲外の試験成績が一部含まれています。

「禁忌を含む使用上の注意」はこちらをご参照ください。

シャム注射を対照とした第Ⅲ相比較検証試(海外データ)
(BRAVO試験:FVF4165g試験)1-3)

最高矯正視力スコアのベースラインからの平均変化量及びその推移(主要評価項目:6ヵ月成績)


最高矯正視力スコアのベースラインからの平均変化量は、ルセンティス0.5mg群、シャム注射群でそれぞれ18.3文字、7.3文字の増加でした。

ルセンティス0.5mg群とシャム注射群の治療群間差の最小二乗平均値(95%信頼区間)は、10.6文字(7.6~13.6文字)であり、シャム注射群と比べてルセンティス0.5mg群では有意に最高矯正視力スコアが増加し、シャム注射群に対する優越性が検証されました(p<0.0001、分散分析*1)。

投与開始6ヵ月後までの最高矯正視力スコア*2のベースラインからの平均変化量の推移

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*1 治療群及びベースラインの最高矯正視力スコア(34文字以下、35文字以上54文字以下、55文字以上)を要因とした分散分析
*2 last observation carried forward(LOCF)法で補填

安全性

●副作用(12ヵ月)

ルセンティス(0.5mgまたは0.3mg)の投与開始12ヵ月後までに264例中118例(44.7%)に副作用が認められました。治療対象眼の副作用は264例中116例(43.9%)に認められ、主な副作用は結膜出血78例(29.5%)、眼痛39例(14.8%)、飛蚊症13例(4.9%)でした。眼以外の副作用は264例中5例(1.9%)に認められ、主な副作用は副鼻腔炎1例(0.4%)、脳出血1例(0.4%)、浮動性めまい1例(0.4%)などでした。
シャム注射群の131例中50例(38.2%)で投与開始12ヵ月までに副作用が認められました。治療対象眼の副作用は131例中48例(36.6%)に認められ、主な副作用は結膜出血33例(25.2%)、眼痛15例(11.5%)、眼の異物感8例(6.1%)でした。眼以外の副作用は131例中2例(1.5%)に認められました。

●有害事象発現率(12ヵ月)

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試験方法

目的BRVOによる黄斑浮腫の認められる患者に対するルセンティス0.3mg*1または0.5mg硝子体内注射の6ヵ月及び12ヵ月間の有効性及び安全性を評価した。
試験対象BRVOによる黄斑浮腫の認められる患者397例(ルセンティス0.5mg群:131例、ルセンティス0.3mg群*1:134例、シャム注射*2群:132例)
試験デザイン多施設共同ランダム化二重遮蔽シャム注射対照比較試験
投与方法

ルセンティス0.3mg群*1:ルセンティス0.3mg*1を1ヵ月毎に投与、ルセンティス0.5mg群:ルセンティス0.5mgを1ヵ月毎に投与、シャム注射*2群:シャム注射*2を1ヵ月毎に実施した(月1回投与期)。6ヵ月以降は、ルセンティスの再投与基準に基づき、必要に応じてルセンティス0.5mg(または0.3mg*1)を硝子体内注射した(PRN投与期)。なお、Pro re nata(PRN)投与期では、月1回投与期にシャム注射*2群であった患者には、ルセンティス0.5mgを硝子体内注射した。また、基準を満たした患者には、投与期間中および観察期間中にそれぞれ1回レスキューレーザーの実施を可能とした。

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<ルセンティス再投与基準>
以下の1または2のいずれかに該当した場合、ルセンティスを硝子体内注射する。
1. ETDRS 視力検査表による最高矯正視力が20/40(近似Snellen等価視力)以下
2. 中心領域網膜厚*3の平均値が250μm以上

<レスキュー治療基準>
以下の1及び2の両方に該当した場合、レスキューレーザーを実施した。
1. ETDRS視力検査表で測定した最高矯正視力が20/40(近似Snellen等価視力)以下、または中心領域網膜厚*3の平均値が250μm以上
2. 3ヵ月前の来院時と比べて最高矯正視力スコアの増加が5文字未満、または中心領域網膜厚*3の平均値の減少が50μm未満

主要評価項目6ヵ月時における最高矯正視力スコアのベースラインからの平均変化量
副次評価項目
  • 6ヵ月及び12ヵ月時までの最高矯正視力スコアのベースラインからの平均変化量の推移
  • 6ヵ月及び12ヵ月時に最高矯正視力スコアのベースラインからの増加が15文字以上であった患者の割合
  • 6ヵ月及び12ヵ月時に最高矯正視力スコアのベースラインからの減少が15文字未満であった患者の割合
  • 6ヵ月及び12ヵ月時までの中心窩網膜厚*4のベースラインからの平均変化量の推移
  • 投与開始6ヵ月後及び12ヵ月後における視機能関連QOL調査票(NEI VFQ-25)の下位尺度のうち、近見視力による行動及び遠見視力による行動のスコアのベースラインからの平均変化量とその推移 など
安全性評価項目眼関連および全身性の有害事象および重篤な有害事象の発生率および重症度 など
解析計画特筆しない限り、有効性の解析には、無作為化試験に組み入れられた全患者を含めたITT解析を用いた。有効性評価項目の欠測値はlast-observation carried-forward(LOCF)法を用いて補填した。有効性の評価項目では2組のペアワイズ比較(ルセンティス0.3mg群*1vsシャム注射群*2、ルセンティス0.5mg群vsシャム注射*2群)を実施した。特筆しない限り、有効性評価項目の解析はベースラインの最高矯正視力スコアで層別化(34以下、35~54、55以上)した。主要評価項目である6ヵ月時における最高矯正視力スコアのベースラインからの平均変化量は、共変数では補正せずにベースラインの最高矯正視力スコアで層別化した分散モデルに基づくHochberg-Bonferroniの多重比較検定を用い、タイプⅠエラー率は0.05としてシャム注射*2群に対する各ルセンティス投与群の優越性を検証した。副次評価項目と探索的評価項目の2変数エンドポイントの比較は、ベースラインの最高矯正視力スコアで層別化したCochran-Mantel-Haenszel χ2検定により評価した[6ヵ月時に最高矯正視力スコアのベースラインからの減少が15文字未満であった患者の割合、6ヵ月時のSnellen等価視力が20/200以上であった患者の割合を除く。これらについては、全ての投与群でエンドポイントに達した患者の割合が多かった(前者)または少なかった(後者)ため、Fisherの直接確率検定により評価した]。連続変数は分散分析または共分散分析により評価した。副次評価項目のタイプⅠエラー率は0.05とし、それぞれの層でHochberg-Bonferroni法と共に階層テストを用いた。最高矯正視力、中心窩網膜厚*4、Excess foveal thicknessおよびNEI VFQ-25スコアのベースラインからの平均変化量に有意な群間差が得られた最初の時点を決定するために、各測定時点での階層テストを時点毎に順番に実施した。6ヵ月後から開始し、下方向に群間差がp>0.05になるまで行った。NEI VFQ-25スコアは公表されたガイドラインを用いて算出し、NEI VFQ-25サブスケールの合計点平均値を算出した。7ヵ月~12ヵ月後の6ヵ月間の観察期間中における治療群間の有効性評価の比較に対する検定力は無いものとした。したがって、有効性の評価は記述統計量で表し、各ルセンティス投与群とシャム注射*2⁄ルセンティス群間の比較は、事後解析により評価した。安全性の解析では、眼関連および全身性の有害事象および重篤な有害事象の発生率は投与群ごとにまとめた。

(承認時評価資料)


*1 ルセンティス0.3mg群の試験成績は承認された用法・用量の範囲外のため、有効性に関する試験成績からは削除しました。
*2 シャム注射:硝子体内投与の代わりに針のないシリンジを局所麻酔下で眼球に押し付け、注射以外は同じ処置を行うこと。
*3 中心窩を中心とする直径1mm の円内の平均網膜厚
*4 中心窩の中心点の網膜厚

患者背景及び治療対象眼の主なベースライン特性

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各群における治療の実施回数

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1)社内資料:外国第Ⅲ相比較試験(FVF4165g)[LUCU00015]承認時評価資料
2)Campochiaro P. A., et al.: Ophthalmology,117(6),1102(2010)[LUCM00447]承認時評価資料
  COI:著者にノバルティスより講演料、コンサルタント料などを受領している者が含まれる。
3)Brown D. M., et al.: Ophthalmology, 118(8),1594(2011)[LUCM00817]承認時評価資料
  COI:著者にノバルティスより講演料、コンサルタント料などを受領している者が含まれる。

シャム注射を対照とした第Ⅲ相比較検証試験
(CRUISE試験:FVF4166g試験)1-3)

最高矯正視力スコアのベースラインからの平均変化量及びその推移(主要評価項目:6ヵ月成績)

最高矯正視力スコアのベースラインからの平均変化量は、ルセンティス0.5mg群、シャム注射群でそれぞれ14.9文字、0.8文字の増加でした。
ルセンティス0.5mg群とシャム注射群の治療群間差の最小二乗平均値(95%信頼区間)は、13.8文字(10.3~17.4文字)であり、シャム群と比べてルセンティス0.5mg群では有意に最高矯正視力スコアが増加し、シャム注射群に対する優越性が検証されました(p<0.0001、分散分析*1)。

投与開始6ヵ月後までの最高矯正視力スコア*2のベースラインからの平均変化量の推移

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*1 治療群及びベースラインの最高矯正視力スコア(34文字以下、35文字以上54 文字以下、55文字以上)を要因とした分散分析
*2 last observation carried forward(LOCF)法で補填

安全性

●副作用(12ヵ月)
ルセンティス(0.5mgまたは0.3mg)の投与開始12ヵ月後までに261例中96例(36.8%)に副作用が認められました。治療対象眼の副作用は261例中95例(36.4%)に認められ、主な副作用は結膜出血63例(24.1%)、飛蚊症12例(4.6%)でした。眼以外の副作用は261例中2例(0.8%)に認められ、主な副作用は心筋梗塞1例(0.4%)、失神寸前の状態1例(0.4%)でした。
シャム注射群の129例中46例(35.7%)で投与開始12ヵ月後までに副作用が認められました。治療対象眼の副作用は129例中45例(34.9%)に認められ、主な副作用は結膜出血31例(24.0%)、眼痛10例(7.8%)、眼圧上昇8例(6.2%)でした。眼以外の副作用は129例中2例(1.6%)に認められました。

●有害事象発現率(12ヵ月)

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試験方法

目的CRVOによる黄斑浮腫の認められる患者に対するルセンティス0.3mg*1または0.5mg硝子体内注射の6ヵ月及び12ヵ月間の有効性および安全性を評価した。
試験対象CRVOによる黄斑浮腫の認められる患者392例(ルセンティス0.5mg群:130例、ルセンティス0.3mg群*1:132例、シャム注射*2群:130例)
試験デザイン多施設共同ランダム化二重遮蔽シャム注射対照比較試験
投与方法

ルセンティス0.3mg群*1:ルセンティス0.3mg*1を1ヵ月毎に投与、ルセンティス0.5mg群:ルセンティス0.5mgを1ヵ月毎に投与、シャム注射*2群:シャム注射*2を1ヵ月毎に実施した(月1回投与期)。6ヵ月以降は、ルセンティスの再投与基準に基づき、必要に応じてルセンティス0.5mg(または0.3mg)を硝子体内注射した(PRN投与期)。なお、PRN投与期では、月1回投与期にシャム注射*2群であった患者には、ルセンティス0.5mgを硝子体内注射した。

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<ルセンティス再投与基準>

以下の1または2のいずれかに該当した場合、ルセンティスを硝子体内注射する。

1. ETDRS視力検査表による最高矯正視力が20/40(近似Snellen 等価視力)以下

2. 中心領域網膜厚*3の平均値が250μm以上

主要評価項目6ヵ月時における最高矯正視力スコアのベースラインからの平均変化量
副次評価項目
  • 6ヵ月時及び12ヵ月時までの最高矯正視力スコアのベースラインからの平均変化量の推移
  • 6ヵ月及び12ヵ月時に最高矯正視力スコアのベースラインからの増加が15文字以上であった患者の割合
  • 6ヵ月及び12ヵ月時に最高矯正視力スコアのベースラインからの減少が15文字未満であった患者の割合
  • 6ヵ月及び12ヵ月時までの中心窩網膜厚*4のベースラインからの平均変化量の推移
  • 投与開始6ヵ月後及び12ヵ月後における視機能関連QOL調査票(NEI VFQ-25)の下位尺度のうち、近見視力による行動及び遠見視力による行動のスコアのベースラインからの平均変化量とその推移 など
安全性評価項目眼関連および全身性の有害事象および重篤な有害事象の発生率および重症度 など
解析計画有効性の解析には、無作為化試験に組み入れられた全患者を含めたITT解析を用いた。有効性評価項目の欠測値はlast-observation carried-forward法を用いて補填した。有効性の評価項目では2組のペアワイズ比較(ルセンティス0.3mg群*1vsシャム注射*2群、ルセンティス0.5mg群vsシャム注射*2群)を実施した。特筆しない限り、有効性評価項目の解析はベースラインの最高矯正視力スコアで層別化(34以下、35~54、55以上)した。主要評価項目である6ヵ月時における最高矯正視力スコアのベースラインからの平均変化量は、共変数では補正せずにベースラインの最高矯正視力スコアで層別化した分散モデルに基づくHochberg-Bonferroniの多重比較検定を用い、タイプⅠエラー率は0.05としてシャム注射*2群に対する各ルセンティス投与群の優越性を検証した。副次評価項目と探索的評価項目の2変数エンドポイントの比較は、ベースラインの最高矯正視力スコアで層別化したCochran-Mantel-Haenszel χ2検定により評価した。連続変数は分散分析または共分散分析により評価した。副次評価項目のタイプⅠエラー率は0.05とし、それぞれの層でHochberg-Bonferroni法と共に階層テストを用いた。最高矯正視力、中心窩網膜厚*4、Excess foveal thicknessおよびNEI VFQ-25スコアのベースラインからの平均変化量に有意な群間差が得られた最初の時点を決定するために、各測定時点での階層テストを時点毎に順番に実施した。6ヵ月後から開始し、下方向に群間差がp>0.05になるまで行った。統計的手法の結果の感度を評価するために追加の解析を行った。NEI VFQ-25スコアは公表されたガイドラインを用いて算出し、NEI VFQ-25の下位尺度の合計点平均値を算出した。安全性の解析は、眼関連および全身性の有害事象および重篤な有害事象の発生率は投与群ごとにまとめた。

*1 ルセンティス0.3mg群の試験成績は承認された用法・用量の範囲外のため、有効性に関する試験成績からは削除しました。
*2 シャム注射:硝子体内投与の代わりに針のないシリンジを局所麻酔下で眼球に押し付け、注射以外は同じ処置を行うこと。
*3 中心窩を中心とする直径1mmの円内の平均網膜厚
*4 中心窩の中心点の網膜厚

 

患者背景及び治療対象眼の主なベースライン特性

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各群における治療の実施回数

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1)社内資料:外国第Ⅲ相比較試験(FVF4166g)[LUCU00016]承認時評価資料
2)Brown D. M., et al.: Ophthalmology,117(6),1124(2010)[LUCM00446]承認時評価資料
3)Campochiaro P. A., et al.:Ophthalmology,118(10),2041(2011)[LUCM00887]承認時評価資料
  COI:著者にノバルティスより講演料、コンサルタント料などを受領している者が含まれる。

日本において承認されたルセンティスの用法及び用量
【網膜静脈閉塞症に伴う黄斑浮腫】
ラニビズマブ(遺伝子組換え)として1回あたり0.5mg(0.05mL)を硝子体内投与する。投与間隔は、1ヵ月以上あけること。
〈用法及び用量に関連する使用上の注意〉
1.  1ヵ月に1回視力等を測定し、その結果及び患者の状態を考慮し、本剤投与の要否を判断すること。
2.  投与開始後、視力が安定するまでは1 ヵ月毎に投与することが望ましい。
3.  本剤による治療を開始するに際し、疾患・病態による視力等の予後を考慮し、本剤投与の要否を判断すること。
4.  定期的に有効性を評価し、有効性が認められない場合には漫然と投与しないこと。
5.  臨床試験においては、両眼治療は行われていない。両眼に治療対象となる病変がある場合は、両眼同時治療の有益性と危険性を慎重に評価した上で本剤を投与すること。なお、初回治療における両眼同日投与は避け、片眼での安全性を十分に評価した上で対側眼の治療を行うこと。

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