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ジレニア 妊娠、胎児に対するリスク(生殖毒性)
妊娠、胎児に対するリスクについて
- 現在までに得られている妊娠中の患者に対するジレニア投与の臨床データは限られており、妊娠中の投与に関する安全性は確立していません。
- 本剤投与中に妊娠した患者において、奇形を有する児が認められたとの報告があります。
- 本剤は動物実験において、催奇形性の報告があります。
特に注意すべき対象患者
- 妊婦または妊娠している可能性のある女性 【禁忌】
- 妊娠可能な女性(本剤の投与を開始する前に、患者が妊娠していないことを確認すること。患者に対して本剤が胎児に悪影響を及ぼす可能性があることを十分に説明し、本剤投与期間中および最終投与後2ヵ月間は適切な避妊を徹底するよう指導すること。また、本剤投与中に妊娠が確認された場合には直ちに投与を中止すること)
妊娠している女性に対するジレニアの影響
臨床試験の結果から
- 国内外の多発性硬化症患者を対象としたジレニアの臨床試験において、2011年2月28日までに計76例の妊娠が報告されています。そのうち、50例がジレニア群でみられた妊娠例でした1)。
- ジレニア投与群50例のうち、19例が出産に至り〔17例:正常新生児、1例:出生児に先天性脛骨湾曲を認めた、1例:無頭蓋症(胎児の頭蓋骨の欠如)が認められ出産2日後に死亡した〕、6例が自然流産、14例が人工流産(うち1例は胎児にファロー四徴を認めたため)、11例が妊娠継続中でした(2011年2月28日時点)1)。
- 現在までに得られている妊娠に関するデータは限られており、本剤の胎児に対する催奇形性のリスクの有無については、まだ明確な結論には至っていません。
非臨床試験の結果から
- ジレニアが作用するS1P1受容体は、胚発生中の血管形成に関与することが知られています2)。
- 動物実験(ラット、ウサギ)において、ジレニア投与による発生毒性が認められています。
- ラットを用いた胚・胎児発生試験では、着床後死亡率の増加および生存胎児数の減少が認められ、胎児には総動脈幹遺残、心室中隔欠損などの内臓奇形が認められました3)。
- ウサギを用いた胚・胎児発生試験では、着床後死亡率の増加、生存胎児数の減少、骨化遅延、胸骨分節癒合、腰椎過剰などの骨格変異が認められました4)。
- ラットを用いた出生前および出生後の発生、ならびに母体機能に関する試験では、出生児(F1)の生存率の低下が認められましたが、体重、発育、行動、および生殖機能に及ぼす影響は認められませんでした5)。
1)審査報告書(平成23年8月9日):3.(iii).審査の概略.(4)催奇形性について
2)Allende ML, Proia RL:Biochim Biophys Acta 1582(1-3):222-227, 2002
3)社内資料:ラットを用いた胚・胎児発生に関する試験(CTD2.6.6-6.2)
4)社内資料:ウサギを用いた胚・胎児発生に関する試験(CTD2.6.6-6.4)
5)社内資料:ラットを用いた出生前及び出生後の発生並びに母体の機能に関する試験(CTD2.6.6-6.5)
授乳中の女性に対するジレニアの影響
臨床試験の結果から
- 授乳中の女性を対象とした臨床試験は実施されていません。
非臨床試験の結果から
- 動物実験(ラット)において、ジレニアおよびその代謝物が乳汁中に移行することが認められています。
[社内資料:分布(CTD2.4-4.2)]
リスクを軽減するための注意事項
- 妊娠可能な女性に対しては、ジレニアの投与を開始する前に、患者が妊娠していないことを確認してください。
- 妊娠可能な女性に対しては、本剤が胎児に悪影響を及ぼす可能性があることを十分に説明し、本剤投与期間中および最終投与後2ヵ月間は適切な避妊を徹底するよう指導してください。
- 本剤投与中に妊娠が確認された場合には、直ちに投与を中止してください。
- 本剤投与中は授乳を避けさせてください。
Q 最終投与からどの程度の期間の避妊が必要なのか? |
A 最終投与後2ヵ月間は避妊が必要ジレニアは消失半減期が長く(6〜9日間)、投与中止後の本剤の血中からの消失には最長で2ヵ月かかる場合があり、その間に本剤による胎児への潜在的リスクが持続する可能性があります。 |