疫学:LDL-C低下治療の重要性
心血管疾患とLDL-C
LDL-C上昇は心血管疾患の発症リスク因子のひとつです。
LDL-Cは改善可能な動脈硬化性心血管疾患(ASCVD)のリスク因子です1)(海外データ)
- LDL-C値の上昇とASCVD
※改善可能なリスク因子に起因するCVD負荷ランキング(2019年):収縮期血圧高値、食事リスク、LDL-C高値、大気汚染、BMI高値、喫煙、空腹時血糖高値、腎機能障害、発熱、その他の環境リスク、アルコール使用、身体活動の低下2)
CVD(Cardiovascular disease):心血管疾患
【対象・方法】
2019年のGlobal Burden of Disease(GBD)研究のデータに基づき、204の国と地域における疾病、傷害、障害及び健康リスクの世界的な傾向を分析した。
1)Ference BA, et al. J Am Coll Cardiol 2018; 72(10): 1141-1156.
2)Roth GA, et al. J Am Coll Cardiol 2020; 76(25): 2982-3021.
【心血管疾患の病態とコレステロール】
LDL-Cと動脈硬化性プラーク
- LDL-C高値は、動脈硬化性心血管疾患(ASCVD)の重要な発症要因である
1)Libby P, et al. Nature 2011; 473(7347): 317-325.
2)Libby P, et al. Nat Rev Dis Primers 2019; 5: 56.
3)Ference BA, et al. J Am Coll Cardiol 2018; 72(10): 1141-1156.
動脈硬化性心血管疾患(ASCVD)
ASCVD発症リスク抑制においては「the lower, the better」が基本の考え方です。
ASCVDの発症とLDL-C値の関係は、“the lower, the better”であることが示唆されています1, 2)(海外データ)
- スタチン投与開始1年後におけるLDL-C値別のハザード比及びイベント発現率1)
【対象・方法】
8つの無作為化比較試験でスタチン投与群に割り付けられた患者38,153例を、投与開始1年後のLDL-C値ごとに7つのカテゴリー(LDL-C<50mg/dL群4,375例、 LDL-C 50‐<75mg/dL群10,395例、LDL-C 75-<100mg/dL群10,091例、LDL-C 100-<125mg/dL群8,953例、LDL-C 125-<150mg/dL群3,128例、LDL-C 150-<175mg/dL群836例、LDL-C≧175mg/dL群375例)に分け、各カテゴリーと心血管イベントリスクとの関連性をCox比例ハザードモデルを用いて評価した(LDL-C≧175mg/dL群における主要心血管イベントのハザード比を1.00とする)。また、報告された主要心血管イベント並びに主要冠動脈イベントの例数をもとに各段階における両イベントの発現率を算出した。
*:補正ハザード比(性別、年齢、喫煙の有無、糖尿病の併存の有無、収縮期血圧、HDL-C値、及び試験で補正した)
1)Boekholdt SM, et al. J Am Coll Cardiol. 2014; 64(5): 485-494より作図.
[利益相反]著者にノバルティスから資金提供又は研究支援を受けたものが含まれます。また、著者にノバルティスから顧問料又は謝礼金を受領した者が含まれます。
2)日本動脈硬化学会 動脈硬化性疾患予防ガイドライン2022年版, p112, 113
ASCVDの死亡者数
心血管死は主要な死因のひとつですが、心血管死の多くはASCVDによるものと報告されています。
日本では、心不全・心筋梗塞などの心疾患や、脳梗塞などの脳血管疾患による死亡が総死亡の約22%を占め、悪性新生物による死亡と匹敵する主要な死因となっています1)
- 日本における全死因及び心疾患・脳血管疾患の死因(死因簡単分類別)(2021年)
【対象・方法】
厚生労働省 『令和3年(2021)人口動態統計(確定数)の概況』を用いて、日本における全死因及び心疾患・脳血管疾患の死因(死因簡単分類別)を集計した。
1)厚生労働省 『令和3年(2021)人口動態統計(確定数)の概況』 統計表 第6表
https://www.mhlw.go.jp/toukei/saikin/hw/jinkou/kakutei21/dl/10_h6.pdf(参照:2023-7-18)
2)厚生労働省 『令和3年(2021)人口動態統計(確定数)の概況』 統計表 第7表
https://www.mhlw.go.jp/toukei/saikin/hw/jinkou/kakutei21/dl/11_h7.pdf(参照:2023-7-18)
心血管疾患はがん、慢性呼吸器疾患、糖尿病による死亡者の合計よりも多く、心血管疾患の死亡者数のうち、動脈硬化性心血管疾患(ASCVD)は67%を占めています(海外データ)
- 世界の疾病負担研究(GBD 2019年)による死亡者数
- 心血管疾患による死亡者数 1,860万例(GBD 2019年)の内訳
【対象・方法】
2019年のGlobal Burden of Disease(GBD)研究のデータに基づき、204の国と地域における疾病、傷害、障害及び健康リスクの世界的な傾向を分析した。
THE LANCET. GBD cause and risk summaries. (https://www.thelancet.com/gbd/summaries). Accessed September 2, 2023より作成
参照:Cardiovascular diseases(https://www.thelancet.com/pb-assets/Lancet/gbd/summaries/diseases/cardiovascular-diseases.pdf)
Ischaemic heart disease(https://www.thelancet.com/pb-assets/Lancet/gbd/summaries/diseases/ischaemic-heart-disease.pdf)
Ischaemic stroke(https://www.thelancet.com/pb-assets/Lancet/gbd/summaries/diseases/ischaemic-stroke.pdf)
Peripheral artery disease(https://www.thelancet.com/pb-assets/Lancet/gbd/summaries/diseases/peripheral-artery-disease.pdf)
Total cancers(https://www.thelancet.com/pb-assets/Lancet/gbd/summaries/diseases/neoplasms.pdf)
Chronic respiratory diseases(https://www.thelancet.com/pb-assets/Lancet/gbd/summaries/diseases/chronic-respiratory-diseases.pdf)
Diabetes mellitus(https://www.thelancet.com/pb-assets/Lancet/gbd/summaries/diseases/diabetes-mellitus.pdf)