イラリス 臨床成績
「効能又は効果」、「用法及び用量」、「禁忌を含む使用上の注意」、「効能又は効果に関連する使用上の注意」、 「用法及び用量に関連する使用上の注意」については添付文書をご参照ください。 |
1. 国内臨床試験(第III相/D2308試験)1)
(1)試験デザイン
目 的:
クリオピリン関連周期性症候群患者を対象に、イラリスの24週投与及びそれに続く継続投与の有効性及び安全性を検討する。
主要評価項目:
(1)有効性
1) 主要評価項目:24週時点で再燃していなかった患者の割合
2) 副次評価項目:
・15日又は29日時点で完全寛解した患者の割合
・医師による自己炎症性疾患活動性の総合評価の推移
・炎症マーカーの推移
(2)安全性
(3)免疫原性(抗カナキヌマブ抗体)
試験方法:
非盲検、非対照、多施設共同試験
対 象:
FCAS、MWS、NOMID患者19例(2~14歳の患者11例を含む)
・ 2歳以上
・ 治験組入時にFCAS、MWS又はNOMIDの臨床診断がなされており、薬物治療を要する患者。
但し、遺伝子検査の実施は必須とし、陰性の場合には責任医師と依頼者の同意を必要とした。
投与方法:
体重40kg以下の患者にはイラリスを1回2mg/kg、体重40kgを超える患者には1回150mgを8週毎に皮下投与し、寛解が得られない場合又は投与後8週以内に再燃がみられた場合は1回2mg/kg又は150mgずつ増量した。ただし、1回最高用量は8mg/kg又は600mgとした。なお、必要に応じ、投与間隔の短縮及び減量も可能とした。観察期間は最終投与後8週までとした。
解析計画:
1)主要評価項目: 24週までに完全寛解した患者に対する、24週時点で再燃していなかった患者の割合を示した。
2)副次評価項目:
・ 増量なしの患者は15日時点、増量ありの患者は29日時点で完全寛解した患者数及び割合を示した。
・ 医師による自己炎症性疾患の総合評価の程度(なし、軽微、軽度、中等度、重度)に対する患者数及び割合を示した。また、臨床評価の各項目(皮膚疾患の評価など)を示した。
・ 炎症マーカーの推移はCRP及びSAAについて、測定値及びベースラインからの変化量の記述統計量を示した。
判定基準:
<寛解及び再燃の定義>を参照
<イラリスの漸増方法>
<寛解及び再燃の定義>
■寛解(①~③をすべて満たす場合) ① 医師による自己炎症性疾患活動性※1の総合評価※2が軽微以下 ③ CRPが10mg/L(=1mg/dL)未満又はSAAが10mg/L(=10μg/mL)未満 |
■再燃(①~②をすべて満たす場合) ① 医師による自己炎症性疾患活動性※1の総合評価※2が軽度以上、又は医師による自己炎症性疾患活動性※1の総合評価※2が軽微かつ皮膚疾患の評価※2が軽度以上 ② CRPが30mg/L(=3mg/dL)超又はSAAが30mg/L(=30μg/mL)超 |
※1 評価項目:
皮膚疾患の評価(蕁麻疹様皮疹)、関節痛、筋痛、頭痛及び片頭痛、結膜炎、疲労及び倦怠感、自己炎症性症候群に関連する症状の評価、自己炎症性症候群に関連しない症状の評価
※2 評価基準:
なし、軽微、軽度、中等度、重度の5段階
(2)患者背景
(3)主要評価項目:24週(169日)時点で再燃していなかった患者の割合
寛解した患者のうち、投与後24週及び投与後48週の時点で再燃がみられなかった患者は、18例中14例(77.8%)及び19例中16例(84.2%)であった。
イラリスの投与により、投与24週以内及び48週以内に寛解した患者はそれぞれ、19例中18例(94.7%)及び19例全例(100%)であった。
(4)副次評価項目:15日又は29日時点での寛解
イラリス投与開始から15日までに増量しなかった患者9例のうち、15日時点で寛解した患者は6例であった。
投与開始から29日までに増量した患者10例のうち、29日時点で寛解した患者は7例であった。
※:15日までに増量しなかった患者は15日時点での寛解、29日までに増量した患者は、29日時点での寛解を示した。
(5)副次評価項目:医師による自己炎症性疾患活動性の総合評価
医師による自己炎症性疾患活動性の総合評価及び皮膚疾患の評価はいずれも、イラリスの初回投与後8日から重症度の改善がみられ、最終評価時まで改善が維持された。
(6)副次評価項目:炎症マーカー(CRP、SAA)の経時推移
CRP及びSAAはいずれもイラリスの初回投与後8日より減少した。投与後15日でのCRP及びSAAの平均値(範囲)は、それぞれ1.00(0.0~6.2)mg/dL及び46.26(0.0~301.0)μg/mLであり、いずれも血清学的寛解基準(CRP:1mg/dL未満、SAA:10μg/mL未満)に近い値まで減少した。
(7)副作用
投与48週までに、副作用は19例中12例(63.2%)に認められた。主な副作用は鼻咽頭炎3例(15.8%)、口内炎2例(10.5%)等であった。死亡例はなかった。重篤な副作用は2例(パルボウイルス感染、エプスタイン・バーウイルス感染、ムンプス性髄膜炎及び肺炎が各1件)認められた。投与中止に至った有害事象はみられなかった。
(8)免疫原性
19例中3例の患者で抗カナキヌマブ抗体が陽性と判定された。3例とも1回の測定時のみの検出であり、その後の測定時には陰性と判定された。
主要文献 1) 社内資料:日本人クリオピリン関連周期性症候群患者を対象とした第Ⅲ相試験(D2308)(承認時評価資料) |