アフィニトール 結節性硬化症(TSC)

監修:大野耕策 先生(鳥取大学名誉教授)

眼病変(網膜過誤腫)

眼病変の種類
 

結節性硬化症の眼病変には網膜過誤腫や網膜無色素斑などがあります1)

疫学と発現時期
 

網膜過誤腫は結節性硬化症患者の約50%に認められる頻度の高い眼所見で、幼児期頃から発現し、加齢とともに発現頻度が高くなる傾向があります(図1、22)

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病態・症状
 

網膜過誤腫は通常無症状で、大部分は石灰化して、視力に影響を与えることはありません。まれに増大して網膜剥離や硝子体出血などの原因となり、過誤腫が黄斑部にかかった場合は視力障害を生じることもあるため、眼病変のある患者の管理には眼科専門医との連携が重要です。

 

検査・診断
 

できれば年1回、眼科での検査を受けることが望ましいとされています3)。確定診断には眼底検査がおこなわれます。
多発性の網膜の過誤腫は、結節性硬化症の診断に用いられる基準1)の大症状(結節性硬化症に特異性が高い症状)、網膜無色素斑は小症状(結節性硬化症に特異性が低い)に挙げられています。 診断基準の詳細はこちらよりご覧下さい。

治療

 

通常、網膜過誤腫は臨床的に安定して無症候性です。症状がある場合は治療のため、定期的な経過観察が必要となります。まれに網膜過誤腫の増大による網膜剥離や硝子体出血が生じた場合の治療には、photocoagulation(光凝固術)がおこなわれます(図3)。
また、視力障害が生じた場合は、脳腫瘍増大による二次的症状である乳頭浮腫や視神経萎縮をおこした可能性が高く、脳腫瘍の外科的切除が必要となることもあるため、速やかな眼科や脳外科の専門医との連携が必須です3)4)

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参考文献
1)Northrup H, et al. Pediatr Neurol 2013; 49: 243–254
2) Curatolo P, et al. Lancet 2008; 372: 657-668
3) 金田眞理, 他. 日皮会誌 2018; 128: 1-16
4) 金田眞理, 他. 日皮会誌 2008; 118: 1667-1676

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