関節所見ライブラリ

Vol.07[腰痛(動作、座位で悪化し、臥位で軽快する):解説]【医療関係者用】

<症例>30代男性
<主訴>腰痛(動作、座位で悪化し、臥位で軽快する)
<既往歴>特記事項なし
<家族歴>特記事項なし

(症例提供・監修)    九州大学病院 整形外科 講師 赤崎 幸穂 先生

診断名

強直性脊椎炎(HLA-B27陰性)

鑑別診断

X線基準を満たさない体軸性脊椎関節炎、腰椎椎間板ヘルニア、化膿性脊椎炎、びまん性特発性骨増殖症(DISH)

検査、原因

NSAIDs 内服などの対症療法を半年間行ったが、症状改善がなかったため、当科RA外来にコンサルトとなった。神経学的所見と経過より、腰椎椎間板ヘルニアと化膿性脊椎炎を否定した。また、年齢と画像所見より、DISHも否定した。再検したCRPは2.57mg/dLであり、あらためて詳細に問診と診察を行うも、炎症性背部痛を疑う症状には乏しかった。HLA検査はB39、B59であり、B27陰性であった。仙腸関節X線像を写真3に示す。右仙腸関節は3度(明らかな変化)を疑う所見であり、CT精査(写真4)にて部分的な強直を認めた。また、左仙腸関節にも骨びらんを認めた。
改訂ニューヨーク診断基準1)の臨床症状としては腰椎の可動域制限あり(Schober's test(前屈制限)は0cmで陽性)、仙腸関節のX線所見としては片側3度以上の仙腸関節炎所見ありが該当し、強直性脊椎炎の確実例と診断した。

1) van der Linden S. et al Arthritis Rheum 1984;27:361-368

写真4

Image
case007_04.png

右仙腸関節には骨性強直が一部あり(赤矢印)。
左仙腸関節には骨びらんと関節裂隙狭小あり(青矢印)。

CTX00033JG0001
2023年10月作成

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