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関節所見ライブラリ
Vol.04[安静時の腰痛:解説]【医療関係者用】
<症例> | 29歳女性 |
<主訴> | 安静時の腰痛 |
<既往歴> | 特記事項なし |
<家族歴> | 脊椎関節炎を含めた膠原病なし、日本人家系 |
(症例提供・監修) 慶應義塾大学病院 リウマチ・膠原病内科 助教 平本 和音 先生
診断名
X線基準を満たさない体軸性脊椎関節炎
鑑別診断
乾癬性関節炎、反応性関節炎、SAPHO症候群、炎症性腸疾患に伴う脊椎関節炎
検査、原因
追加の病歴聴取で先行感染症歴や慢性的な下痢や血便なし。身体所見では全身に皮疹は認めず、爪の変形なし。血液検査ではリウマトイド因子陰性、抗CCP抗体陰性、抗核抗体陰性。HLA-B27は陰性。関節超音波検査で末梢関節に滑膜炎や付着部炎は認めず。単純X線で仙腸関節に明らかなびらん、骨硬化、狭小化なし(写真2)。仙腸関節CTでは右仙腸関節にびらん及び骨硬化を示唆する所見あり(写真3)。
なお全身CTでは胸鎖関節や胸肋関節に骨化像なし。しかし仙腸関節MRI脂肪抑制画像では活動性炎症所見は明らかでなかった(写真4)。
一方、下位胸椎-腰椎MRIではT2 STIR画像でL5とS1の椎体に骨髄浮腫を認め、その他の椎体辺縁にもT2延長病変を認めた(写真5)。
典型的な炎症性背部痛の病歴を有していたこと、MRIで仙腸関節に活動性炎症所見はないがCTで以前の炎症を示唆する所見が示唆されたことなどから、総合的にX線基準を満たさない体軸性脊椎関節炎と診断した。NSAIDs内服は無効であったため、生物学的製剤による治療を開始した。
写真2 仙腸関節Xp
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写真3 仙腸関節CT 水平断 冠状断
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写真4 仙腸関節MRI
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写真5 下位胸椎-腰椎MRI
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CTX00027JG0001
2023年7月作成