関節所見ライブラリ

Vol.01 [両足の痛み:解説]【医療関係者用】

<症例>40代男性
<主訴>両足の痛み
<既往歴>高尿酸血症、2型糖尿病
<家族歴>特に関節リウマチ、強直性脊椎炎、乾癬、IBD、ぶどう膜炎、甲状腺疾患の既往なし

(症例提供・監修)    杏林大学医学部 腎臓・リウマチ膠原病内科 准教授 岸本 暢将 先生

診断名

X線基準を満たさない体軸性脊椎関節炎。

鑑別診断

痛風性関節炎、化膿性関節炎、反応性関節炎、乾癬性関節炎

検査、原因

さらなる病歴聴取にて、30代から慢性的に腰痛をみとめ、今回悪化はないが、頸部痛も自覚して、痛みで夜起きることもあり。炎症性腰背部痛の所見あり。
脊椎関節炎を疑い単純X線腰椎側面および骨盤正面撮影(写真4)を行った。
単純X線では仙腸関節の明らかな骨びらんは明らかではなかったが、内転筋や臀部筋の付着部の”けば立ったcalcification像”がみられ脊椎関節炎が疑われた。その後仙腸関節MRI(斜位冠状断 T1強調画像およびSTIR撮影)を行ったところ、左仙腸関節にT1強調画像でlow、STIR画像でHighの活動性仙腸関節炎をみとめ、T1強調画像では右仙腸関節に骨びらんもみとめられた(写真5)。
のちにHLA B-27陽性も判明。NSAIDs無効なX線基準を満たさない脊椎関節炎の診断となり、生物学的製剤による治療を開始した。

写真4 単純X線 腰椎側面像 骨盤正面像

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Non-marginalおよびMarginal靭帯骨棘が混在(左)
仙腸関節 Grade 1両側 骨盤・恥骨周囲に毛ば立ったcalcificationあり(右)

写真5 仙腸関節MRI(斜位冠状断)T1強調画像およびSTIR画像

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連続する3スライスにてT1強調画像 low STIR画像 highの骨髄浮腫を認めた(赤矢印)
T1強調画像にて骨びらんあり(黄色矢印)

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2023年4月作成

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