レボレード FAQ
製品FAQは医療に従事する先生方からよくご質問いただく内容をまとめたものです。記載している情報はあくまで参考情報としてお取り扱いいただき、医療上のご判断は医療従事者の裁量と責任のもとに行っていただきますようお願い致します。
製品のご使用にあたっては、最新の電子化された添付文書(電子添文)をご確認ください。製品に関してご不明な点がございましたら、弊社お問い合わせ窓口にお問い合わせください。
1.特定の背景を有する患者
レボレードは日本人と外国人(非東アジア人)の薬物動態に人種差はありますか?
<成人の場合>
日本人及び外国人の成績を用いた母集団薬物動態解析の結果、レボレードの有効成分エルトロンボパグのAUC0-τは、非東アジア系慢性特発性血小板減少性紫斑病(ITP)患者(主に白人)と比較して、東アジア系ITP患者(日本人を含まない)で約87%高値を示た。また、日本人ITP患者のAUC0-τは、非東アジア系ITP患者のAUC0-τ(母集団薬物動態解析推定値)に比べ、約85%高値を示しました。
<小児の場合>
1 歳以上の外国人小児ITP 患者にエルトロンボパグを1 日1 回経口投与した際の血漿中エルトロンボパグ濃度を母集団薬物動態解析した結果、体重の増加により見かけのクリアランス及び分布容積は増加すると考えられました。また、エルトロンボパグのAUC0- τは、非アジア系の小児ITP 患者と比較して、アジア系の小児ITP 患者で約43%高値を示した。女性の小児ITP 患者におけるAUC0- τは、男性の小児ITP 患者に比べて約25%高値を示しました。
【用語解説】
AUC0-τ:定常状態における1投与間隔AUC(血中濃度-時間曲線下面積)
τ(tau):投与間隔
(参考)
Gibiansky, E. et al.:J. Clin. Pharmacol. 2011; 51(6): 842-856
Wire, M.B. et al.:Clin. Pharmacol. Ther. 2018; 104(6): 1199-1207
レボレードは妊婦へ投与してもいいですか?
妊婦又は妊娠している可能性のある女性には、治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ投与してください。また、胎児の血小板への影響は不明です。
また、妊娠する可能性のある女性には、この薬を使用している間および最終投与後11日間は、避妊する必要性および適切な避妊法について説明してください。
動物試験(ラット)において母体毒性用量で胚致死、胎児体重の低値及び低頻度の頸肋(変異)の増加が報告されています。そのため、妊娠する可能性のある女性には、本剤投与中及び最終投与後11日間において避妊する必要性及び適切な避妊法について説明することをお願いしています1)。
また、日本人健康成人に反復投与時の血漿中消失半減期が約40~51時間であることから、避妊期間として血漿中消失半減期の約5倍である「11日間」と設定されました。(51時間×5=255時間=10.625日)
(参考)
1) レボレード錠 電子添文9.4、9.5
レボレードは授乳婦へ投与してもいいですか?
治療上の有益性及び母乳栄養の有益性を考慮し、授乳の継続または中止を検討してください。動物試験(ラット)においてレボレードの主成分であるエルトロンボパグの乳汁中への移行が示唆されています1)。
<参考:動物データ>2)
ラットの出生前及び出生後の発生ならびに母体の機能に関する試験では、授乳期間の出生児の血漿中にエルトロンボパグの未変化体が検出されたことから、エルトロンボパグは乳汁中に移行すると考えられました。
(参考)
1) レボレード錠 電子添文9.6 授乳婦
2) レボレード錠インタビューフォーム Ⅶ‐5.(3)
レボレードは肝機能障害患者に対してどのような注意が必要ですか?
レボレードを投与中にAST、ALT、ビリルビンの増加等の肝機能障害があらわれることがあるため、本剤投与開始前及び投与中は定期的に肝機能検査を行うなど観察を十分に行ってください。異常が認められた場合には投与を中止する等適切な処置を行って下さい。
肝機能障害のある患者では、肝機能障害の悪化、血中濃度−時間曲線下面積(AUC)が増加する可能性
がありますので、注意して投与してください。また、血小板数が定常状態に達するまでの期間が長くなるため、効果の確認のためには少なくとも3週間は同一用量を維持してください。
<参考データ>1)
肝障害患者(外国人)に本剤50mgを単回経口投与した時のエルトロンボパグのAUC0-∞の幾何平均値は健康成人と比べて軽度の肝障害患者(Child-Pugh スコア:5~6)で41%、中等度の肝障害患者(Child-Pughスコア:7~9)で93%、重度の肝障害患者(Child-Pugh スコア:10以上)で80%高かった。しかしながら、健康成人及び軽度~重度の肝障害患者のAUC0-∞の範囲(最小値~最大値)は、順に34.46~174.99、35.86~127.74、57.64~263.22、32.26~263.51μg・hr/mLとばらつきが大きかった。
(参考)
1) レボレード錠電子添文 9.3、16.6.2
レボレードは腎機能障害患者に対してどのような注意が必要ですか?
腎機能障害患者を対象に、有効性および安全性を指標とした臨床試験は実施していません。血小板数の推移に加えて安全性についても慎重に観察して下さい。
<参考データ>1)
腎障害患者に本剤50mgを単回経口投与した時のエルトロンボパグのAUC0-∞の幾何平均値は健康成人と比べて軽度の腎障害患者(CLcr:50~80mL/min)で32%、中等度の腎障害患者(CLcr:30~49mL/min)で36%、重度の腎障害患者(CLcr:30mL/min未満)で60%低かった。しかしながら、健康成人及び軽度~重度の腎障害患者のAUC0-∞の範囲(最小値~最大値)は、順に32.65~99.32、22.54~83.51、21.10~109.95、3.44~117.54μg・hr/mLとばらつきが大きかった。
(参考)
1) レボレード錠電子添文 9.2、16.6.1
2.効能又は効果
レボレードを投与し、効果が認められた慢性特発性血小板減少性紫斑病(ITP)患者でレボレードの投与を中止した場合、血小板減少はどのくらいの期間で認められますか?
国内外の臨床試験(TRA108109試験、RAISE試験)では、効果が認められた患者において、投与中止後2週間以内に投与開始前の値まで血小板数の中央値が低下した例が報告されています。
レボレードの投与中止後は、血小板数の低下に伴い、出血を生じることがあります。本剤の投与中止後4週間程度は頻回に血小板数を測定し、出血のリスクに対して注意深く観察してください。異常が認められた場合には、適切な対症療法を実施してください。
(参考)
レボレード錠インタビューフォーム Ⅷ-5.
3.用法及び用量
なぜレボレードは食事の前後2時間を避けて空腹時に服用するのでしょうか?
食事に含まれるカルシウム含量がレボレードの薬物動態に影響を及ぼすと考えられています。
患者さんが食事に含まれるカルシウム含有量を正確に判断することは困難であるため、本剤の服用方法は国内外で実施した臨床試験と同様に、食事の前後2時間を避けて空腹時に服用することとしました。
<参考データ>1)
健康成人にエルトロンボパグ50mgを、乳製品を含む高カロリー、高脂肪の食事(カルシウム427mg含有)とともに単回経口投与した時、空腹時に比べてAUC0-∞は59%、Cmaxは65%低下しました。また、エルトロンボパグ75mgを高脂肪又は低脂肪のカルシウム含有量の低い(50mg未満)食事とともに投与した時、いずれもエルトロンボパグのAUC0-∞及びCmaxに影響を与えませんでした(外国人データ)。
(参考)
1) レボレード錠 電子添文 16.2.1
レボレードを飲み忘れた場合の対応は?
服用予定時刻に飲み忘れてしまった場合は、その日は飲み忘れた分を服用しないでください。
翌日は決められた錠数のみを服用し、決して2回分を服用しないように指導してください1)。
(参考)
1) レボレード錠 くすりのしおり
4.安全性
レボレードは多価陽イオンを含有製剤と併用注意ですが、サプリメントも含まれますか?
レボレードは多価陽イオン含有製剤と併用することで、キレートを形成し吸収が阻害されるため、エルトロンボパグの血中濃度が低下します。これは薬剤のみではなく、食品やサプリメントにおいてもカルシウムやマグネシウム等の多価陽イオンを含む場合にも注意が必要です。
<参考データ>1)
明確な含有量の基準はありませんが、外国人健康成人にレボレード50mgを高カルシウム食(カルシウム427mg含有)後に単回経口投与した結果、空腹時に比べてAUC0~∞は59%、Cmaxは65%低下しました。
(参考)
1) Williams, D.D. et al.:Clin. Ther. 2009; 31(4): 764-776
レボレード投与後の血清の変色、臨床検査結果への影響について
本剤の有効成分であるエルトロンボパグは、赤~褐色であるため、血清の変色や臨床検査に影響を及ぼす可能性があります。
本剤を投与された患者において、血清の色が濃い赤褐色又は暗褐色へ変色した報告や、総ビリルビンが低値を、クレアチニンが低値又は高値を示したとの報告があります1)。
総ビリルビンやクレアチニンの臨床検査結果に疑問が生じた際は、臨床所見や他の臨床検査の値(AST値、ALT値やBUN値等)を確認するなどし、総合的に判断してください。
(参考)
1) レボレード錠インタビューフォーム Ⅷ-9.
5.製剤
レボレード錠を粉砕してもいいですか?
レボレードの電子添文14.1には「粉砕を避けること」と記載されています。
レボレード錠を粉砕して投与することは、承認外の用法となります。粉砕して投与した際の有効性、安全性、薬物動態は確立していませんので、弊社からは推奨していません。
レボレード錠を分割してもいいですか?
レボレード錠を分割して投与することは、承認外の用法となります。分割して投与した際の有効性、安全性、薬物動態は確立していませんので、弊社からは推奨していません。
レボレード錠を一包化してもいいですか?
レボレード錠を一包化して投与することは、承認外の用法となります。一包化して投与した際の有効性、安全性、薬物動態は確立していませんので、弊社からは推奨していません。
レボレード錠を懸濁してもいいですか?
レボレード錠を懸濁して投与することは、承認外の用法となります。懸濁して投与した際の有効性、安全性、薬物動態は確立していませんので、弊社からは推奨していません。