ベオビュ 加齢黄斑変性(AMD)
本剤は国内外の第Ⅱ相及び第Ⅲ相試験の成績を基に評価され国内承認されました。以下で紹介する臨床試験成績には、承認範囲外の試験成績が一部含まれています(OSPREY:C-12-006試験、HAWK:C001試験)。
日本人を含む国際共同第Ⅲ相試験(HAWK:C001試験)4~7)
試験方法と患者背景および治療対象眼の主なベースライン特性
4)社内資料:有効性に関する概括評価[20200027]承認時評価資料 5)社内資料:全有効性試験結果の比較検討[20200028]承認時評価資料 6)社内資料:国際共同第Ⅲ相試験(C001試験)[20200011]承認時評価資料 7)Dugel PU, et al. Ophthalmology 2020;127(1):72-84[20190561] COI:本研究は、ノバルティスの資金により行われた。本論文の著者のうち2名はノバルティスの社員、1名はノバルティスのサイエンス アドバイザリー ボードのメンバー、2名はノバルティスの顧問である。著者にはノバルティスよりコンサルタント料/助成金/謝礼金/研究費を受領している者が含まれる。 |
試験方法
目的
48週の最高矯正視力のベースラインからの変化量に関して、ベオビュ6mgのアフリベルセプト2mgに対する非劣性を検証する。
試験対象
50歳以上で治療対象眼※1が未治療の活動性脈絡膜新生血管(choroidal neovascularization:CNV)を伴う滲出型加齢黄斑変性患者1078例(うち日本人患者は154例)
※1
CNV領域が全病変面積の50%を上回る
網膜内滲出液(intraretinal fluid:IRF)または網膜下滲出液(subretinal fluid:SRF)が中心窩に及んでいる
最高矯正視力がETDRS(early treatment diabetic retinopathy study)可読文字数78~23文字
試験デザイン
多施設共同二重遮蔽無作為化並行群間比較試験
投与方法
患者をベオビュ3mg群、ベオビュ6mg群、アフリベルセプト2mg群のいずれかに1:1:1の比で無作為化し、各薬剤を4週ごとに3回導入投与した後、維持投与としてベオビュ3mg群または6mg群は12週ごと、アフリベルセプト2mg群は8週ごとに硝子体内投与した(16週まではベオビュ6mg群とアフリベルセプト2mg群で投与時期が同一)。ベオビュ3mg群または6mg群の投与は、規定来院日に遮蔽医師による疾患活動性評価を行い、疾患活動性が認められた場合は試験終了時まで8週間隔とした。
※2 疾患活動性の評価基準
評価時点 | 評価基準 |
16週 |
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20、32、44週※3 |
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56、68、80、92週※3 |
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※3 疾患活動性評価の最終的な判断は遮蔽医師にあり、これらガイダンスと臨床的な判断をもとに遮蔽医師の裁量により決定された
a)患者が12週に来院しなかった場合、44週を含む来院日まで8週の値を疾患活動性評価の基準値として適用
b)患者が48週に来院しなかった場合、44週の値を2年目の疾患活動性評価の基準値として適用
主要評価項目
最高矯正視力スコア※4のベースラインからの変化量(48週)
最も重要な副次評価項目
最高矯正視力スコア※4のベースラインからの平均変化量(36~48週)
その他の重要な副次評価項目(ベオビュ群のみ)
- 試験開始から12週間隔投与を維持した患者の割合(48週)
- 導入期直後から12週間隔投与を維持した患者の割合(48週)
その他の副次評価項目
- 最高矯正視力スコア※4のベースラインからの変化量(96週、各評価時点)
- ベースラインからの最高矯正視力スコア※4の増加が15文字以上、または84文字以上の患者の割合(48週及び96週)
- ベースラインからの最高矯正視力スコア※4の減少が15文字以上の患者の割合(48週及び96週)
- 試験開始から12週間隔投与を維持した患者の割合(96週)
- 導入期直後から12週間隔投与を維持した患者の割合(96週)
- 16週で疾患活動性を示した患者の割合(16週)
- 中心窩網膜厚のベースラインからの変化量(各評価時点)
- 中心窩網膜厚のベースラインからの平均変化量(36~48週)
- CNV病変サイズのベースラインからの変化量(12週、48週及び96週)
- CNV病変を有する患者の割合(12週、48週及び96週)
- IRFまたはSRFが認められた患者の割合(16週、48週及び96週)
- 36~48週にIRFまたはSRFが認められた回数(36~48週)
- 網膜色素上皮下の滲出液〔sub-retinal pigment epithelium(sub-RPE)fluid〕が認められた患者の割合(16週、48週及び96週)
※4 ETDRS文字スコア(ETDRS視力検査表を用いて測定開始距離4mで評価)
安全性評価項目
有害事象(治療対象眼及び眼以外)など
解析計画
主要評価項目・最も重要な副次評価項目 |
解析対象集団:FAS(無作為化された患者のうち、治験薬が1回以上投与された患者) 解析方法: ベースラインの最高矯正視力区分(≦55文字、56~70文字、≧71文字)、年齢区分(<75歳、≧75歳)、群を固定効果とした分散分析(ANOVA)を行い、投与群間差(ベオビュ6mg群-アフリベルセプト2mg群)の両側95%信頼区間の下限が非劣性マージンの-4文字より大きい場合に、アフリベルセプト2mg群に対するベオビュ6mg群の非劣性が検証されることとした(有意水準は片側0.025)。欠測値はLOCF(last observation carried forward)法を用いて補完した。ベースライン後の測定値がない患者ではベースライン値を、治験薬投与中止後も試験を継続した患者では治験薬以外のVEGF阻害剤を使用した時点で治療対象眼での有効性評価打切りとして、打切り直前のデータを用いた。部分集団(日本人など)解析を実施した。 多重性の調整: 階層的手法を適用し、主要評価項目、最も重要な副次評価項目の順にそれぞれベオビュ6mg群 vs. アフリベルセプト2mg群、ベオビュ3mg群 vs. アフリベルセプト2mg群の順に、先行する評価項目について非劣性が検証された場合に次の評価項目の非劣性を検定できることとした。 |
その他の重要な副次評価項目 |
解析対象集団:FAS及びFASのうち導入期直後から12週間隔投与を維持したベオビュ群の患者 解析方法: 48週に12週間隔で投与継続可能な患者の割合を、疾患活動性の評価基準に該当し8週間隔投与に移行するまでの期間を指標として、Kaplan-Meier法で推定した。Confounding effectを考慮して、以下のイベントに該当した患者は、該当した時点で8週間隔投与に切り替えたものとして解析した。 |
その他の副次評価項目 |
解析対象集団:FAS 解析方法: 各評価時点の最高矯正視力スコアのベースラインからの変化量及び各評価時点の中心窩網膜厚のベースラインからの変化量については、主要評価項目と同様に解析した。試験開始から12週間隔投与を維持した患者の割合(96週)、及び導入期直後から12週間隔投与を維持した患者の割合(96週)は、その他の重要な副次評価項目と同様に推定した。IRFまたはSRFの有無、疾患活動性の有無、ベースラインからの最高矯正視力スコアの増加が15文字以上、または84文字以上の患者の割合、ベースラインからの最高矯正視力スコアの減少が15文字以上の患者の割合については、ベースライン、年齢区分(<75歳、≧75歳)、群を固定効果としたロジスティック回帰を用いて解析した(疾患活動性発現患者の割合はベースラインなし)。36~48週の4回の来院時にIRFまたはSRFが認められた回数については、ベースラインのIRFまたはSRFの有無、年齢区分(<75歳、≧75歳)を因子としたコクラン・マンテル・ヘンツェル(Cochran-Mantel-Haenszel:CMH)検定を用いた。 多重性の調整: 主要評価項目及び最も重要な副次評価項目で非劣性が検証された場合には、その他の副次評価項目3項目(中心窩網膜厚、IRFまたはSRFの有無、疾患活動性の有無)に対する優越性検定をベオビュ6mg群、ベオビュ3mg群の順に実施することとし、項目ごとに階層的にベオビュ6mg群またはベオビュ3mg群とアフリベルセプト2mg群を比較して、先行する評価項目について優越性が検証された場合に次の検定を実施できることとした(有意水準は、中心窩網膜厚のベースラインからの変化量は片側0.005、IRFまたはSRFの有無及び疾患活動性の有無はそれぞれ片側0.01)。IRFまたはSRFの有無について16週及び48週で優越性が検証された場合、36~48週の4回の来院時にIRFまたはSRFが認められた回数について優越性検定を実施することとした(有意水準は片側0.01)。 |
※ベオビュ3mg群の試験成績は承認された用法及び用量の範囲外のため、有効性に関する試験成績からは削除しました。
患者背景及び治療対象眼の主なベースライン特性
※1 predominantly classic型とpure classic型が含まれる
※2 3つのサブタイプ〔線維血管系網膜色素上皮剥離(pigment epithelial detachment:PED)、漿液性PED及び後期漏出〕のうち少なくとも1つが存在する場合
※3 ポリープ状脈絡膜血管症(polypoidal choroidal vasculopathy:PCV)
日本において承認されたベオビュの用法及び用量(抜粋)
7.1 臨床試験においては、両眼治療は行われていない。両眼に治療対象となる病変がある場合は、両眼同時治療の有益性と危険性を慎重に評価した上で本剤を投与すること。なお、初回治療における両眼同日投与は避け、片眼での安全性を十分に評価した上で対側眼の治療を行うこと。 〈中心窩下脈絡膜新生血管を伴う加齢黄斑変性〉 7.2 維持期においては、定期的に疾患活動性を評価し、疾患活動性を示唆する所見が認められた場合は、投与間隔を8週とすること等を考慮すること。 |