ヴォトリエント サルコーマ(悪性軟部腫瘍)
フォーカス「悪性軟部腫瘍(STS)」
概要
監修:岡山大学大学院医歯薬学総合研究科生体機能再生・再建学講座 整形外科学 教授 尾﨑 敏文 先生
悪性軟部腫瘍(Soft Tissue Sarcoma:STS)は、サルコーマ、肉腫などとも呼ばれ、軟部組織から発生する悪性腫瘍の総称である。軟部組織は、筋肉や腱、脂肪や血管などの組織を指し、全身に分布している。このため、悪性軟部腫瘍は、四肢をはじめとして体幹や後腹膜、頭頸部など、全身のいたるところに発生する。多くは、痛みのない腫瘤や腫脹としてあらわれるが、一部は痛みを伴う場合もある。
軟部組織
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わが国における悪性軟部腫瘍の患者数は、3,000人程度1)と推定されており、新規患者は年間1,300人2)、がん死亡者数全体に占める割合は0.3%とされている3)。なお、国内外の報告から、男性にやや多い傾向がみられている4,5)。
また、年齢ごとに発生する頻度や種類が異なるが、年齢とともに増加し、ピークは60~69歳にあると報告されている6)。
1)厚生労働省患者調査(平成20年)における「中皮及び軟部組織の悪性新生物」の患者数5,000人から、「中皮腫」の患者数2,000人を引いて算出
2)日本整形外科学会 骨・軟部腫瘍委員会 (編).:整形外科・病理 悪性軟部腫瘍取扱い規約. 金原出版,14-17 (2006)
3)がん情報サービス ICD-10三桁分類別がん死亡(2008年・2009年)
4) Saithana A., et al.: Int Orthop 32, 381-384 (2008)
5) Gustafson P.: Acta Orthop Scand Suppl 259, 1-31 (1994)
6) 日本整形外科学会 骨・軟部腫瘍委員会/国立がん研究センター(編).:全国軟部腫瘍登録一覧表 (2012)