イラリス 臨床成績
「効能又は効果」、「用法及び用量」、「禁忌を含む使用上の注意」、「効能又は効果に関連する使用上の注意」、 「用法及び用量に関連する使用上の注意」については添付文書をご参照ください。 |
海外臨床試験
①クリオピリン関連周期性症候群(第Ⅱ相/A2102試験)
(ステージ2)<海外データ>2)
(1)試験デザイン
目 的:
NALP3遺伝子変異を有する患者を対象にイラリスを静脈内及び皮下投与したときの有効性を臨床症状の改善を指標に検討する。
評価項目:
(1)有効性
1) 主要評価項目:各投与から再燃までの期間
2) 副次評価項目:
・炎症マーカー(CRP及びSAA)
・医師による自己炎症性疾患活動性の臨床評価
試験方法:
非盲検、非対照、多施設共同試験
対 象:
NALP3遺伝子変異を有するCAPS患者34例(4~17歳の患者7例を含む)ステージ1には4例の成人が組み込まれ、全員がステージ1を完了し、ステージ2に移行した。ステージ2には新規に30例の患者が組み込まれた。
・ 年齢4~75 歳
・ 体重12kg以上100kg未満
・ 遺伝子診断でNALP3の変異が確認され、FCAS、MWS、NOMIDに特徴的な臨床像を有するCAPS患者
投与方法:
・ ステージ1:治療期開始日にイラリス10mg/kgを単回静脈投与した(第1投与期投与)。初回再燃時にはイラリス1~5mg/kg、2回目再燃時には150mgを皮下投与することとした(第3投与期投与)
・ ステージ2:初回投与時及び再燃時に16歳を超える患者にはイラリスを1回150mg、4~16歳の患者(5例)には1回2mg/kgを皮下投与した。治験薬の投与は、試験中止まで又は第Ⅲ相/D2306試験(20頁参照)、第Ⅲ相/D2304試験(27頁参照)に移行するまで継続した。
解析計画:
1) 主要評価項目:本解析には、全患者の全投与期データを使用した。
2) 副次評価項目:
・炎症マーカーであるCRP又はSAAが10mg/L未満が完全寛解
・医師による自己炎症性疾患活動性の臨床評価は9項目の程度を5段階で評価
判定基準:
<寛解及び再燃の定義>を参照
<寛解及び再燃の定義>
■寛解(以下の項目すべてを満たす場合)
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■再燃(同日の評価で、以下の項目すべてを満たす場合)
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※1 評価項目:
皮膚疾患の評価(蕁麻疹様皮疹)、関節痛、筋痛、頭痛及び片頭痛、結膜炎、疲労及び倦怠感、自己炎症性症候群に関連する症状の評価、自己炎症性症候群に関連しない症状の評価
※2 評価基準:
なし、軽微、軽度、中等度、重度の5段階
(2)患者背景
(3)主要評価項目:再燃までの期間
イラリス150mgが投与された16歳以上の患者では初回投与後2~9日以内に29例中28例(96.6%)、2mg/kgが投与された16歳未満の患者では初回投与後2~8日以内に5例全例が寛解した。イラリス150mg及び2mg/kg投与における再燃までの期間はそれぞれ、115.2日及び48.6日と推定された。
(4)副次評価項目:炎症マーカー(CRP、SAA)の経時推移
CRP及びSAAの幾何平均はいずれの用量・用法も、イラリス投与後1週間に正常範囲(CRP、SAAとも10mg/L未満)まで減少し、最終評価時に増加したが、ベースラインの値に達しなかった。
(5)副次評価項目:医師による自己炎症性疾患活動性の総合評価
医師による自己炎症性疾患活動性の総合評価は、イラリス150mgが投与された16歳以上の患者及び2mg/kgが投与された16歳未満の患者(5例)の全例で、初回投与後1日になし又は軽微へ改善した。
(6)副作用
副作用は34例中13例(38.2%)に認められた。その内訳は、18歳以上の患者27例中8例(29.6%)、4~17歳の患者7例中5例であった。主な副作用は18歳以上の患者では回転性めまい、下気道感染、体重増加、筋痙縮、頭痛、多汗症、寝汗、発疹がいずれも1例(3.7%)、4~17歳の患者では頻脈、回転性めまい、口唇乾燥、悪心、発熱、処置後合併症、食欲亢進、筋緊張低下、精神運動亢進、睡眠障害、ざ瘡、多汗症、発疹、そう痒性皮疹がいずれも1例であった。
死亡例の報告はなかった。重篤な副作用は2例(下気道感染及び回転性めまいが各1例)であった。投与中止に至った有害事象は1例(妊娠)であった。
(7)免疫原性
いずれの患者においても抗カナキヌマブ抗体は認められなかった。
【用法及び用量】 通常、体重40kg以下の患者にはカナキヌマブ(遺伝子組換え)として1回2mg/kgを、体重40kgを超える患者には1回150mgを8週毎に皮下投与する。十分な臨床的効果(皮疹及び炎症症状の寛解)がみられない場合には適宜漸増するが、1回最高用量は体重40kg以下の患者では8mg/kg、体重40kgを超える患者では600mgとする。最高用量まで増量し、8週以内に再燃がみられた場合には、投与間隔を 4週間まで短縮できる。なお、症状に応じて1回投与量の増減を検討すること。 |
主要文献 2) 社内資料:外国人クリオピリン関連周期性症候群患者を対象とした第I/IIa 相試験(A2102)(承認時評価資料) |