キムリア B細胞性急性リンパ芽球性白血病(B-ALL)
RWE CIBMTR(海外データ、ALL)
再発/難治性の小児/若年ALL又は成人NHL*1患者におけるキムリアの有効性及び安全性を評価する実臨床データ解析、非介入前向き研究
*1 登録されている患者は国内承認範囲内の対象であった
*2 データカットオフ日:2020年1月(追跡期間中央値:13.4ヵ月)
Limitation 患者集団等の違いにより、臨床試験と実臨床での成績を直接比較することはできません。 データ収集の違い(有効性評価のタイミング等)、キムリアによる治療は検討されたが投与を受けていない患者が含まれていないこと(治療や死亡、有害事象等による)、ブリッジング療法の確認が困難であること、B細胞形成不全のデータ又はCD19陰性再発に関連する情報がないこと。 |
Pasquini, MC. et al.:Blood Adv. 4(21), 5414, 2020 COI:本試験はノバルティスの資金により行われた。著者にノバルティスより謝礼、研究助成金を受領した者及び社員が含まれる。
試験概要*2
- 試験デザイン
目的 | 実臨床でキムリアを投与された410例の患者を対象に、安全性と有効性の早期分析、及び転帰に関するパラメータの評価 |
対象 | 米国及びカナダで2017年8月30日(初回承認)以降に、再発/難治性の小児/若年成人ALL又は成人NHL*1と診断されキムリアが投与された患者(511例)のうちALL患者255例 |
投与方法・投与量 | CAR発現生T細胞として0.2×106 ~5.0×106個/体重kg(体重≦50kg )又は0.1×108~2.5×108個(体重>50kg)を単回静脈内投与した。 |
評価項目・ 解析計画 | 評価項目 コホート 解析計画 |
治療状況・患者背景*2
- 治療状況
- 患者背景
有効性*2
キムリア投与後のORR(CR)は213例(85.5%)、このうち115例がMRD陰性の深い寛解を達成しました
- 投与後のORR
奏効維持率は12ヵ月時点で60.9%でした
- ALL患者におけるKaplan-Meier法で推定した寛解期間の曲線
キムリア投与後のEFSは12ヵ月時点で52.4%でした
- ALL患者におけるKaplan-Meier法で推定したEFSの曲線
OSは12ヵ月時点で77.2%でした。うち34例 (16.1%) はキムリア投与後の寛解中にHSCTを実施しました
- ALL患者におけるKaplan-Meier法で推定したOSの曲線
安全性*2
CRS※2が140例(54.9%)に認められました。グレード3以上のCRSは41例(16.1%)に認められ、うち1例はCRSによる死亡でした。発症までの中央値は6日(範囲:1‐27日)、発症期間の中央値は7日(範囲:1-76日)でした。また、トシリズマブ使用率は25%でした。
※2 CRSの評価は、ASTCTの基準を用いた
- キムリア投与後のALL患者におけるCRS発生率及び治療薬使用率
ICANS※4が69例(27.1%)に認められました。グレード3以上のICANSは23例(9.0%)に認められ、主な症状は、意識低下(47.8%)、振戦 (21.7%)、発作 (18.8%)、幻覚 (17.4%) 及び失語症(15.9%)でした。発症までの中央値は7日(範囲:1‐80日)、発症期間の中央値は7日(範囲:1-94日)でした。また、ステロイド使用率は6%でした。
※4 神経系事象の評価は、ASTCTコンセンサス尺度及びチサゲンレクルユーセル療法に関連する神経症状を用いた
- キムリア投与後のALL患者における神経系事象発生率及び治療薬使用率
28及び100日目の好中球数回復率は、それぞれ75%及び91%でした。同じく28及び100日目の血小板数回復率は、それぞれ79%及び89%でした。キムリア投与後30日目で、22%及び18%の患者に長期の好中球減少症及び血小板減少症を認めました。
二次性悪性腫瘍が6例 (2.4%)報告され、内訳はAML4例、MDS2例でした。AMLの症例は系統転換を伴う再発ALLであることが確認され、これらの患者のうち3例はキムリア投与前にMLL遺伝子の再構成が確認されました。AML患者の1例は、遺伝子異常としてリ・フラウメニ症候群が報告されました。
- ALL患者(255例)におけるCRS及びICANS以外の安全性エンドポイントの概要
【効能、効果又は性能】 1. 再発又は難治性のCD19陽性のB細胞性急性リンパ芽球性白血病。ただし、以下のいずれかの場合であって、CD19抗原を標的としたキメラ抗原受容体発現T細胞輸注療法の治療歴がない患者に限る。 ・初発の患者では標準的な化学療法を2回以上施行したが寛解が得られない場合 ・再発の患者では化学療法を1回以上施行したが寛解が得られない場合 ・同種造血幹細胞移植の適応とならない又は同種造血幹細胞移植後に再発した場合 2. 再発又は難治性のびまん性大細胞型B細胞リンパ腫。ただし、以下のいずれかの場合であって、CD19抗原を標的としたキメラ抗原受容体発現T細胞輸注療法の治療歴がない、かつ、自家造血幹細胞移植の適応とならない又は自家造血幹細胞移植後に再発した患者に限る。 ・ 初発の患者では化学療法を2回以上、再発の患者では再発後に化学療法を1回以上施行し、化学療法により完全奏効が得られなかった又は完全奏効が得られたが再発した場合 ・ 濾胞性リンパ腫が形質転換した患者では通算2回以上の化学療法を施行し、形質転換後には化学療法を1回以上施行したが、形質転換後の化学療法により完全奏効が得られなかった又は完全奏効が得られたが再発した場合 《効能、効果又は性能に関連する使用上の注意》 1. 再発又は難治性のCD19陽性のB細胞性急性リンパ芽球性白血病 (1)25歳以下(投与時)の患者に使用すること。 (2)フローサイトメトリー法又は免疫組織染色法等により検査を行い、CD19抗原が陽性であることが確認された患者に使用すること。 (3) 臨床試験に組み入れられた患者の前治療歴等について、【臨床成績】の項の内容を熟知し、本品の有効性及び安全性を十分に理解した上で、適応患者の選択を行うこと。 2. 再発又は難治性のびまん性大細胞型B細胞リンパ腫 (1) 臨床試験に組み入れられた患者の組織型及び前治療歴等について、【臨床成績】の項の内容を熟知し、本品の有効性及び安全性を十分に理解した上で、適応患者の選択を行うこと。 |
ALL: acute lymphoblastic leukemia;急性リンパ芽球性白血病
ASTCT: 米国移植細胞治療学会
BOR: best overall response;最良総合効果
CAR: chimeric antigen receptor;キメラ抗原受容体
CIBMTR: 国際造血細胞移植データ登録機構
CNS: central nervous system;中枢神経系
CR: complete response;完全奏効
CRS: cytokine release syndrome;サイトカイン放出症候群
DOR: duration of response;奏効期間
DLBCL: diffuse large B-cell lymphoma;びまん性大細胞型B細胞リンパ腫
EFS: event free survival;無イベント生存期間
HSCT: hematopoietic stem cell transplantation;造血幹細胞移植
ICANS: immune effector cell-associated neurotoxicity syndrome;免疫エフェクター細胞関連神経毒性症候群
MDS: myelodysplastic syndromes:骨髄異形成症候群
NHL: non-Hodgkin lymphoma;非ホジキンリンパ腫
ORR: overall response rate;奏効率
OS: overall survival;全生存期間
PFS: progression free survival;無増悪生存期間
PR: partial response;部分奏効
RWE: リアルワールドエビデンス