イラリス 臨床成績
「効能又は効果」、「用法及び用量」、「禁忌を含む使用上の注意」、「効能又は効果に関連する使用上の注意」、 「用法及び用量に関連する使用上の注意」については添付文書をご参照ください。 |
海外臨床試験
③マックル・ウェルズ症候群(第III相/D2304試験)<海外データ>4)
(1)試験デザイン
目 的:
MWS患者に対するイラリスの有効性をプラセボを対照として検討する。
評価項目:
(1)有効性
1) 主要評価項目:パート2での再燃した患者の割合
2) 副次評価項目:炎症マーカーの推移等
試験方法:
無作為化、プラセボ対照、二重盲検、並行群間比較、多施設共同試験
対 象:
NALP3変異を有するMWS患者35例(4~16歳の患者4例を含む)
・ 年齢4~75歳
・ 体重15kg以上100kg未満
・ 遺伝子診断でNALP3の変異が確認され、MWSに合致した臨床像を有する患者
・ A2102試験に参加した患者は、再燃時点で本試験への組み入れを許容
投与方法:
本試験はパート1~3の3期で構成され、パート1、パート3は非盲検、パート2はプラセボを対照とする二重盲検で実施された。
パート1 : 全例にイラリスを単回投与後、8週後に寛解及び再燃を評価
パート2 : パート1で寛解し、かつ再燃がみられなかった患者を対象に、イラリス群又はプラセボ群にランダム化し、8週毎に最大3回又は再燃までイラリス又はプラセボを投与(最長24週)
パート3 : パート2で再燃又は24週経過後の患者を対象に、イラリスを8週毎に投与(16週)
イラリスの投与量は、体重15kg以上40kg以下の患者にはイラリス2mg/kg、体重40kgを超える患者には150mgを8週毎に皮下投与した。
投与スケジュール:
解析計画:
1) 主要評価項目:
群間比較には、コホートで調整した共通オッズ比について、正確検定(超幾何確率分布に基づく)を用い、p 値と共通オッズ比とその95%信頼区間を算出した。また、Kaplan-Meier法を用いて再燃した被験者の割合を推定し、Greenwood法でその95%信頼区間を算出した。
2) 副次評価項目:
・ 炎症マーカーは、パート2最終評価時のSAA及びCRPの8週からの変化量に対する投与群間の比較には、コホートを層別因子とする層別Wilcoxon順位和検定を用いた。
判定基準:
<寛解、パート1,3での再燃、パート2での再燃の定義>
■寛解(以下の項目すべてを満たす場合)
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■パート1、3での再燃(同一日の評価で,以下の項目すべてを満たす場合)
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■パート2での再燃(同一日の評価で、以下の1、2の基準を同時に満たす場合、又は3の基準に合致する場合)
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※1 評価項目:
皮膚疾患の評価(蕁麻疹様皮疹)、関節痛、筋痛、頭痛及び片頭痛、結膜炎、疲労及び倦怠感、自己炎症性症候群に関連する症状の評価、自己炎症性症候群に関連しない症状の評価
※2 評価基準: なし、軽微、軽度、中等度、重度の5段階評価
(2)患者背景
(3)主要評価項目:パート2における再燃
初回投与後8週以内に35例中34例(97.1%)の患者が寛解した。初回投与後に寛解した34例中31例がパート2に移行した。
パート2で再燃がみられた患者は、イラリス群で15例中0例(0.0%)、プラセボ群で16例中13例(81.3%)であり、イラリス群の再燃はプラセボ群に比べて有意に少なかった(p<0.001, コホートで層別した超幾何確率分布に基づく正確検定、95%信頼区間[0.00, 0.14])。
パート2における再燃までの期間(中央値)は、パート2の開始から100日であった。
(4)副次評価項目:パート2における炎症マーカー(CRP、SAA)の変化
パート2におけるイラリス群のCRP及びSAAはいずれも、初回投与後8週からパート2最終評価時までプラセボ群より低値で推移し、その変化量はイラリス群で有意に小さかった[CRPの変化量(平均値):イラリス群1.1mg/L、プラセボ群19.9mg/L(p<0.0001)、SAAの変化量(平均値):イラリス群2.3mg/L、プラセボ群71.1mg/L(p=0.002)、いずれもコホートを層別因子とする層別Wilcoxon順位和検定]。
(5)副作用
パート1:
副作用は35例中12例(34.3%)に認められた。主な副作用は体重増加3例(8.6%)、気管支炎及び無力症2例(5.7%)等であった。
パート2:
副作用はイラリス群の15例中7例(46.7%)、プラセボ群の16例中4例(25.0%)に認められた。主な副作用は、イラリス群では鼻咽頭炎及び尿路感染がいずれも2例(13.3%)等、プラセボ群では悪心、気管支炎、口腔ヘルペス、鼻炎及び上気道感染がいずれも1例(5.7%)であった。
パート3:
副作用は31例中9例(29.0%)に認められた。主な副作用は下痢2例(6.5%)、回転性めまい、発熱、敗血症及び尿路感染がいずれも1例(3.2%)等であった。
死亡例は全てのパートでみられなかった。重篤な副作用はパートⅠ及びⅡでは認められなかったが、パートⅢでは2例(発熱、敗血症及び回転性めまいが各1件)にみられた。投与中止に至った副作用はパートⅠ及びⅡでは認められなかったが、パートⅢでは1例(尿路感染症)にみられた。
(6)免疫原性
いずれの患者においても抗カナキヌマブ抗体は認められなかった。
主要文献 4) 社内資料:外国人マックル・ウエルズ症候群患者を対象とした第III相試験(D2304)(承認時評価資料) |