クロザリル 国内臨床試験及び海外で認められた重大な副作用
高血糖、糖尿病増悪
高血糖や糖尿病増悪があらわれ、糖尿病性ケトアシドーシス、糖尿病性昏睡から死亡に至った例も報告されています。なお、ノバルティス社が収集・分析した安全性データ注)に基づく海外での糖尿病性昏睡又は糖尿病性高血糖昏睡の発現例数は39例でした。国内臨床試験での発現例はありませんでした。
糖尿病性昏睡については、海外の報告で本剤は他の非定型抗精神病薬と比較して発現頻度が高いことが示唆されています。8,9)
本剤の投与中は定期的に血糖値を測定し、口渇、多飲、多尿、頻尿、多食、脱力感などの症状の発現に注意するとともに、異常が認められた場合には投与を中止し、インスリン製剤を投与するなど適切な処置を行うことが必要です。
注)1990年1月1日~2008年2月29日まで
参考資料
8) W. Dumouchel, D. Fram, X. Yang : Antipsychotics, glycemic disorders, and life-threatening diabetic events: a Bayesian data-mining analysis of the FDA adverse event reporting system (1968-2004).Annals of Clinical Psychiatry, 20(1), 21-31, 2008.
9) K. Hedenmalm, S. Hagg, M. Stahl, O. Mortimer, O. Spigset : Glucose intolerance with atypical antipsychotics. Drug Safety, 25(15), 1107-16,2002.
国内臨床試験における高血糖、糖尿病増悪の発現状況
国内臨床試験での耐糖能関連の副作用の発現例数及び発現率を以下に示します。
国内臨床試験における耐糖能関連の副作用の発現例数及び発現率
投与患者数a) | 発現例数 | 発現率 (%) | |
血中ブドウ糖増加 | 77 | 4 | 5.19 |
耐糖能障害 | 77 | 2 | 2.60 |
高血糖 | 77 | 1 | 1.30 |
尿中ブドウ糖陽性 | 77 | 1 | 1.30 |
糖尿病 | 77 | 0 | 0 |
a)国内1301、1201、1202及び1203試験で本剤が投与された患者数
海外市販後における高血糖の発現状況(有害事象)
ノバルティス社が収集・分析した1990年1月5日~2008年10月31日までの安全性データに基づく海外での高血糖の発現例数、発症率は以下のとおりです。
海外における高血糖*の発現頻度
投与患者数a) | 発現例数b) | 発現率 (%) | |
アメリカ | 249,378 | 163 | 0.07 |
イギリス | 50,866 | 127 | 0.25 |
カナダ | 28,079 | 29 | 0.10 |
オーストラリア | 18,032 | 44 | 0.24 |
合計 | 346,355 | 363 | 0.10 |
*:耐糖能異常を含む
a) 1990年1月5日~2008年10月31日までに少なくとも1回クロザリルが投与された患者数
b) クロザリルとの関連性の有無にかかわらず発現した症例数
海外市販後における高血糖の発現状況(有害事象)
海外における高血糖*の発現頻度
発現例数 | 関連あり n (%)a) | 関連なし n (%)a) | 不明 n (%)a) | |
高血糖b) | 363 | 70 | 17 | 276 |
a) 各事象の合計に対する割合を示す
b) 耐糖能異常を含む
海外での高血糖の発現例における重篤度内訳
発現例数 | 重篤 n (%)a) | 非重篤 n (%)a) | |
高血糖b) | 363 | 207 | 156 |
a) 各事象の合計に対する割合を示す
b) 耐糖能異常を含む
海外での高血糖の発現例(有害事象)における転帰
海外での高血糖の発現例における転帰
発現例数 | 回復 n (%)a) | 増悪 n (%)a) | 軽快 n (%)a) | 不変 n (%)a) | 障害を伴う回復 n (%)a) | 未報告 n (%)a) | 不明 n (%)a) | 死亡 n (%)a) | |
高血糖b) | 363 | 69 | 3 | 50 | 44 | 4 | 32 | 150 | 11 |
a) 各事象の合計に対する割合を示す
b) 耐糖能異常を含む