メキニスト FAQ
製品FAQは医療に従事する先生方からよくご質問いただく内容をまとめたものです。記載している情報はあくまで参考情報としてお取り扱いいただき、医療上のご判断は医療従事者の裁量と責任のもとに行っていただきますようお願い致します。
製品のご使用にあたっては、最新の電子化された添付文書(電子添文)をご確認ください。製品に関してご不明な点がございましたら、弊社お問い合わせ窓口にお問い合わせください。
1.特定の背景を有する患者
透析患者へのタフィンラー及びメキニストの投与方法を教えてください
タフィンラー及びメキニストの電子添文には透析患者さんへの注意喚起はしていません。なお、臨床試験において透析患者さんは含まれておらず、有効性、安全性を検討したデータはありません。
透析患者に投与する場合には患者の状態を十分に観察してください。
(参考)
タフィンラーインタビューフォーム Ⅶ-3.
メキニストインタビューフォーム Ⅶ-3.
2.効能又は効果
「標準的な治療が困難なBRAF遺伝子変異を有する進行・再発の固形腫瘍」の適応の根拠となった臨床試験ではどのような癌腫が登録されていましたか
適応の根拠となった国際共同第Ⅱ相臨床試験(X2201試験、ROAR)では下記の症例が登録されていました。
対象:18歳以上のBRAF V600E遺伝子変異を有する切除不能な進行・再発の希少癌患者206例(日本人7例)
・甲状腺未分化癌(ATC):36例(日本人2例)
・胆道癌(BTC):43例(日本人2例)
・消化管間質腫瘍(GIST):1例
・WHO grade 1又は2の神経膠腫(LGG):13例(日本人2例)
・WHO grade 3又は4の神経膠腫(HGG):45例(日本人1例)
・小腸癌(ASI):3例
・有毛細胞白血病(HCL):55例
・多発性骨髄腫(MM):10例
(参考)
タフィンラーインタビューフォーム Ⅴ-5. (4) 1)④ⅰ)
3.用法及び用量
メキニストを飲み忘れた場合はどのように対処すればよいですか
飲み忘れに気付いた時間が、次の投与まで12時間以上ある場合には、すぐに投与してください。
ただし、12時間を下回っている場合は、次の日の投与時間に1回分だけ投与してください1)。
(参考)
1) メキニスト適正使用ガイド 3.Q&A
タフィンラー・メキニスト適正使用ガイド 3.Q&A
メキニストの服用が空腹時の理由はありますか
食後にメキニストを投与した場合、Cmax及びAUCが低下するとの報告があります1)。
16.2.1 食事の影響 2)
外国人固形癌患者24例にトラメチニブ2mg注1)を高脂肪・高カロリー食摂食後に単回経口投与した時の血漿中トラメチニブのAUC及びCmaxは絶食下に比べて、それぞれ約10及び70%低下した。
注1)本剤の承認用法・用量は、ダブラフェニブとの併用において、通常、成人にはトラメチニブとして2mgを1日1回、空腹時に経口投与である
食事の影響を避けるため、食事の1時間前から食後2時間までの間の服用は避けてください1)。
(参考)
1) メキニスト電子添文 7.1
2) メキニスト電子添文 16.2.1
タフィンラー及びメキニストの手術前後の休薬期間はどのくらいですか
タフィンラ―及びメキニストの手術に対する影響を検討したデータはなく、手術前後の休薬の必要性、休薬期間の明確な基準はありません。
以下の情報を参考に休薬の必要性をご検討ください。
・安全性:臨床試験において治癒不良の副作用が以下の件数発現しています1)。
BRAF V600E/K変異を有する再発ハイリスクの悪性黒色腫の術後患者を対象とした国際共同第Ⅲ相臨床試験(F2301試験、n=435) 治癒不良1例(0.2)
国際共同第Ⅱ相臨床試験(G2201試験、HGGコホートn=41及びLGGコホートn=73) 治癒不良1例(HGGコホート)(2.4%)
・薬物動態:タフィンラーの半減期(T1/2)は約5~15時間であり2)、メキニストのT1/2は約83時間です3)。
(参考)
1) タフィンラ―インタビューフォーム 別紙 〈トラメチニブとの併用時の副作用〉 3)7)
2) タフィンラ―インタビューフォーム VII-1.(2)
3) メキニストインタビューフォーム VII-1.(2)
タフィンラー及びメキニストと放射線治療の併用をしてもいいですか?
タフィンラー及びメキニストと放射線療法の併用の可否、放射線療法とタフィンラー/メキニストの投与間隔に関する明確な基準はありません。
皮膚がん診療ガイドライン第4版メラノーマ診療ガイドライン2025では以下のように記載があります1)。
「CQ10 BRAF/MEK阻害薬や免疫チェックポイント阻害薬に放射線療法を併用することは勧められますか?」
推奨文:局所への効果を目的とした場合、放射線療法の併用を提案する。
推奨の強さ:2(実施)
エビデンスの強さ:D(とても弱い)
合意率:(1回目):100%(22/22)
【参考】各種定義
推奨の強さ
1.「実施する」ことを推奨する
2.「実施する」ことを提案する
3.「実施しない」ことを提案(条件付きで推奨)す る
4.「実施しない」ことを推奨する
5.推奨なし
エビデンス総体の総括のエビデンスの確実性(強さ)
A(強):効果の推定値が推奨を支持する適切さに強く確信がある
B(中):効果の推定値が推奨を支持する適切さに中等度の確信がある
C(弱):効果の推定値が推奨を支持する適切さに対する確信は限定的である
D(とても弱い):効果の推定値が推奨を支持する適切さにほとんど確信できない
(参考)
1) 皮膚がん診療ガイドライン第 4 版 メラノーマ診療ガイドライン 2025
4.安全性
タフィンラー及びメキニストの発熱の副作用に対する対処法、減量・休薬、中止・再開基準はありますか
・38℃以上の発熱が認められた場合、両剤を休薬してください。
・発熱時には、感染症等の有無を評価してください。
・必要に応じてイブプロフェン、アセトアミノフェン等の解熱剤を投与してください。これらの解熱剤の効果が不十分な場合には経口ステロイド剤の投与を検討してください。
〈再開基準〉
・発熱の回復後、24時間以上発熱がない場合: 休薬前と同一用量の投与量で両剤を再開してください。必要に応じて、投与量を調節し、減量して再開してください。
・再開後、38℃未満の発熱、悪寒・戦慄・寝汗・インフルエンザ様症状等の発熱の初期症状の再発が認めら れた場合: 両剤の休薬を検討してください。必要に応じて、投与量を調節し、減量して再開してください。
なお、休薬をしても4週間以内に発熱がGrade1以下またはベースラインに軽快しない場合は、両剤を中止してください。
【参考】
用量調節の目安についてはタフィンラー電子添文7.3項、及びメキニスト電子添文7.2項をご確認ください
(参考)
タフィンラー適正使用ガイド 2注意を要する副作用とその対策
メキニスト適正使用ガイド 2注意を要する副作用とその対策
タフィンラー電子添文7.3
メキニスト電子添文7.2
タフィンラー及びメキニスト併用時に副作用が発現した場合、どちらの薬剤を減量、休薬又は中止すればいいですか
原則として、両剤を同時に減量、休薬、又は中止してください。
<参考>
臨床試験注)では、副作用が発現した場合、以下の例外を除き、両剤を同時に減量、休薬又は中止する規定になっていました。
例外
・タフィンラーのみ用量調節を必要とする場合:発熱、ぶどう膜炎
・メキニストのみ用量調節を必要とする場合:網膜静脈閉塞又は網膜色素上皮剥離、肺臓炎
注)臨床試験は適応疾患ごとに異なります。詳細は各適応疾患の適正使用ガイドをご確認ください。
(参考)
タフィンラー適正使用ガイド 3Q&A
メキニスト適正使用ガイド 3Q&A
5.製剤
メキニスト錠の開封後の安定性、一包化の可否について教えてください。
<開封後の安定性>
メキニスト錠0.5mg製剤及び2mg製剤の苛酷試験(保存条件:蛍光ランプ)において、無包装にて120万lux/hr以上、200W・h/m2で保存した際、水分の増加が認められました1)。
<一包化>
メキニスト錠を一包化して安定性を検討したデータはありません。
そのため、一包化はお勧めしていません。
(参考)
1) メキニストインタビュフォーム Ⅳ-6.
メキニスト錠を粉砕・懸濁して投与してもいいですか?
メキニストを粉砕・懸濁して投与することは、承認外の用法となります。粉砕・懸濁投与した際の有効性、安全性、薬物動態は確立していませんので、弊社からは推奨していません。
粉砕後の安定性、懸濁、経管投与については、弊社お問い合わせ窓口にお問い合わせください。
製品についてのお問い合わせ(ノバルティスダイレクト)
電話番号: 0120-003-293 (通話料無料)
受付時間:月~金 9:00~17:30 (祝日及び弊社休日を除く)
電話がご利用いただけない場合は、医療関係者の方専用 お問い合わせフォームをご利用ください。
タフィンラー小児分散錠やメキニストドライシロップをそのまま投与してもいいですか
タフィンラー小児分散錠を懸濁しないで服用した場合、またメキニストドライシロップを溶解せずに服用した場合の有効性、安全性は検討しておりません。また、薬物動態への影響は不明のため、必ずタフィンラー小児分散錠は水に懸濁、メキニストドライシロップは水に溶解して服用ください。
メキニスト小児用ドライシロップを水に溶かした後の安定性について教えてください。
水で調製したメキニスト小児用ドライシロップの安定性を検討した試験は、35日まで規格内でした1)。
溶解後の安定性試験
保存条件 | 包装形態 | 保存期間 | 結果 |
5℃ | 褐色ガラス瓶及び小児誤用防止機能付きスクリューキャップ | 35日間 | 規格内であった |
25℃/60%RH | 35日間 | 規格内であった |
測定項目:性状(再調製液)、含量、類縁物質等
開始時及び5℃で11、23、35ヵ月間保存した検体を用いて、既定の条件で再調製/保存後、試験を実施
35日以上経過した際の品質については検討したデータがありません。
調製から35日を経過したシロップ剤は廃棄してください2)。
(参考)
1) メキニストインタビュフォーム Ⅳ-7.
2) メキニスト電子添文 14.2.2
メキニストドライシロップを開封後、粉末の状態でどのくらい保管できますか?
開封後の粉末の状態での安定性は、検討していません。そのため、どれくらい保管が可能かは不明です。
メキニストドライシロップの味について教えてください。
メキニストドライシロップは、香料によりストロベリーの風味がついています1)。
(参考)
1) メキニストインタビューフォームIV.-1(2)
6.その他
タフィンラー及びメキニストのコンパニオン診断薬を教えてください
タフィンラー及びメキニストは十分な経験を有する病理医又は検査施設における検査により、BRAF遺伝子変異が確認された患者に投与してください。検査にあたっては、承認された体外診断用医薬品又は医療機器 を用いてください。
なお、承認された体外診断用医薬品又は医療機器に関する情報については、以下のウェブサイトから入手可能です1,2)。
https://www.pmda.go.jp/review-services/drug-reviews/ review-information/cd/0001.html
国内で承認を得ているコンパニオン診断薬は、疾患別に以下があります。
①悪性黒色腫
・THxID BRAF キット
・FoundationOne CDx がんゲノムプロファイル
・MEBGEN BRAF キット
②非小細胞肺癌
・オンコマイン Dx Target Test マルチ CDxシステム
・AmoyDx肺癌マルチ遺伝子PCRパネル
・肺がん コンパクトパネル Dxマルチコンパニオン診断システム
・遺伝子解析プログラムMINtS Analyzer
MINtS 肺癌マルチ CDx ライブラリー調製試薬キット
③固形腫瘍(結腸・直腸癌及び 悪性黒色腫を除く) 、有毛細胞白血病
・MEBGEN BRAF 3 キット
(参考)
1) タフィンラー電子添文 5.1
2) メキニスト電子添文5.1
PMDAのホームページ コンパニオン診断薬等の情報
https://www.pmda.go.jp/review-services/drug-reviews/review-information/cd/0001.html