サンドスタチン皮下注用、サンドスタチンLAR筋注用キット FAQ
製品FAQは医療に従事する先生方からよくご質問いただく内容をまとめたものです。記載している情報はあくまで参考情報としてお取り扱いいただき、医療上のご判断は医療従事者の裁量と責任のもとに行っていただきますようお願い致します。
製品のご使用にあたっては、最新の電子化された添付文書(電子添文)をご確認ください。製品に関してご不明な点がございましたら、弊社お問い合わせ窓口にお問い合わせください。
1.用法及び用量
サンドスタチン皮下注用を持続皮下投与する際の希釈は何を使用しますか?
生理食塩水、5%ブドウ糖液、注射用水で希釈してください。
なお、希釈後の安定性については、以下の通りです1)。
【試験方法】
(1)配合方法・保存形態:希釈量3.0mL及び4.2mLではサンドスタチン皮下注用100μg3アンプル(オクトレオチドとして300μg 相当)から内容物を全量抜きとり、希釈溶媒3.0mLまたは4.2mLを加え、混和した。希釈溶媒1.8mLでは、サンドスタチン皮下注用100μg6アンプル(オクトレオチドとして600μg相当)から内容物を全量抜き取り、希釈溶媒3.6mLを加え、混和した。シリンジ(10mL容プラスチック製注射筒)に保存
(2)保存条件:室温、室内散光
(3)試験項目:外観、pH、オクトレオチド含量(残存率%)
(4)観察期間:7日間(開始時、1日、4日、7日)
【試験結果】

(参考)
1) サンドスタチン皮下注用インタビュフォーム.ⅩⅢ.
2.製剤
サンドスタチン皮下注用を室温で保管してしまいましたが使用してもいいですか?
サンドスタチン皮下注用の貯法は、「凍結を避け5℃以下に保存」です。
貯法を逸脱した製品の使用は避けてください。
また、サンドスタチン皮下注用50μgおよび100μgにおける加速試験の条件下の20℃・75%RHでは、外観、pH、液体クロマトグラフィー、定量のいずれの項目においても、6か月まで規格内でした1)。
参考資料:海外添付文書
以下の情報は海外の添付文書情報であり、国内の電子添文に記載のない内容を含む可能性がありますので、ご注意ください。アメリカの添付文書2)における記載は以下のとおりです。なお、EUの添付文書には室温での貯法に関する記載はありません。
米国の添付文書(2024年7月作成)
Storage and Handling:【貯法(抜粋)】
At room temperature (20℃ to 30℃ or 70。F to 86。F), Sandostatin is stable for 14 days if protected from light.
室温で(20℃~30℃)、遮光した状態で14日は安定である。
(参考)
1) サンドスタチン皮下注用インタビュフォーム Ⅳ‐6
2) アメリカの添付文書(2024年7月作成)
https://www.novartis.us/product-list/products/all
サンドスタチンLAR筋注用キットのバイアルと専用分散液を室温に戻す時間は30分必要ですか?
サンドスタチンLAR筋注用キットは、バイアルと専用分散液を少なくとも30分は室温で静置し、内容物を室温に戻してから調製をしてください。
サンドスタチンLAR筋注用キットの電子添文
14. 適用上の注意
14.1 薬剤調製時の注意
(抜粋)
14.1.2 調製は必ず付属の専用分散液及びバイアルアダプターを使用し、薬剤及び専用分散液を少なくとも30分室温で静置し、内容物を室温に戻してから行うこと。
(参考)
サンドスタチンLAR筋注用キット電子添文14.1.2
サンドスタチンLAR筋注用キットのバイアル製剤を懸濁した後の安定性のデータはありますか
サンドスタチンLAR筋注用キットは、ご使用の直前に懸濁をお願いします1)。
サンドスタチンLAR筋注用キット電子添文
14.1.薬剤調製時の注意
(抜粋)
14.1.3 用時調製し、懸濁後は直ちに使用すること。
参考情報として、懸濁した後の安定性試験では、サンドスタチンLAR筋注用キット10㎎又は30㎎のバイアル製剤を懸濁後、室温・室内散光下で3時間保存したところ、性状、類縁物質、オクトレオチド含量とも規格内でした。
また、再度振り混ぜると均一な懸濁液となりました1)。
(参考)
1) サンドスタチンLAR筋注用キット電子添文 14.1
ノバルティスファーマ社内資料 サンドスタチンLAR筋注用キット懸濁後の安定性
3.その他
サンドスタチン皮下注用の消化器症状の副作用の発現傾向と対処法について教えてください
発現傾向は以下の通りです。
サンドスタチン皮下注用電子添文
11.2その他の副作用「胃腸障害」1)
5%以上:嘔気
1~5%未満:胃部不快感、下痢、嘔吐
1%未満:便秘、腹痛、食欲不振、白色便、腹部膨満
頻度不明:膵炎、鼓腸放屁
Lambertsらの報告2)では、悪心、腹部仙痛、下痢、脂肪吸収不良及び鼓腸は、サンドスタチン初回注射後数時間以内に発現し、重症度は用量依存的であり、治療継続にかかわらず通常は10~14日で自然に軽快すると記載があります。
先端巨大症・下垂体性巨人症3)および消化管ホルモン産生腫瘍における多施設臨床試験の報告4)では、自然消失、特に処置することなしに継続投与できた例や抗菌剤と消化酵素剤を投与することで、症状が消失した例が報告されています。
(参考)
1) サンドスタチン皮下注用電子添文11.2
2) Lamberts S.W.J.et al.:N. Engl. J. Med. 334(4), 246-254, 1996
3) 島津 章ほか:日本内分泌学会雑誌 65(7), 640-652, 1989
4) 清野 宏ほか:ホルモンと臨床 36(6), 581-590, 1988【19886656 】
サンドスタチン皮下注用の電子添文14.1.2に記載のある持続皮下投与時の「ノバルティスファーマ作成使用手引き」の具体的な内容を教えてください。
持続皮下投与時の「ノバルティスファーマ作成使用手引き」は、サンドスタチン皮下注用の注入速度の設定方法、注入液量の調整方法についての解説したものです。サンドスタチン皮下注インタビュフォーム1)に「ノバルティスファーマ作成使用手引き」を記載しています。
(抜粋)
① <進行・再発癌患者の緩和医療における消化管閉塞に伴う消化器症状の改善>に対する使用
シリンジポンプの注入機器を用いて24時間持続皮下投与を行う必要があります。このとき、サンドスタチン皮下注の投与量によって、シリンジポンプの注入速度ならびに注入液量を設定する必要があります。
1)シリンジポンプの注入速度の確認
シリンジポンプの設定可能な注入速度は機器ごとに異なります。お使いのシリンジポンプの設定可能な注入速度をご確認ください。
2)サンドスタチン皮下注用の投与量と注入速度
サンドスタチン皮下注用を日局生理食塩液等で希釈し、お使いのシリンジポンプで注入可能な適切な液量に調整します。
24時間あたりの注入量
注入速度(mL/h)×24h=サンドスタチン皮下注用量+希釈液量
② <先天性高インスリン血症に伴う低血糖(他剤による治療で効果が不十分な場合)>に対する使用
主としてインスリンに使用されるポータブルシリンジを使用します。このとき、サンドスタチン皮下注用の投与量によって、シリンジポンプの注入速度を設定する必要があります。
1)サンドスタチン皮下注用の投与量と注入速度
患者さんの体重をもとに算出したオクトレオチドの1日量(μg)から1時間当たりの注入量(μg/h)を算出します。
1時間あたりの注入量
用量(μg/kg)×体重(kg)÷24h=1時間当たりの注入量(μg/h)
2)シリンジポンプの注入速度の設定
上記で算出した1時間あたりの注入量(μg/h)がシリンジポンプに入力する注入量です。シリンジポンプの注入速度の単位はU/hとなっていますが、サンドスタチン皮下注用100μgを使用する場合、μg/hと読み替えてください。
(参考)
1) サンドスタチン皮下注用インタビューフォーム XIII
サンドスタチンLAR筋注用キットは20ゲージの針以外で投与してもいいですか?
サンドスタチンLAR筋注用キットの電子添文:
14.2.3 注射針は20ゲージを用いること。
20ゲージ以外での投与は推奨できません。
(参考)
サンドスタチンLAR筋注用キット電子添文14.2
サンドスタチンLAR筋注用キットの注射部位は、いつまでもまないようにしたらいいですか
サンドスタチンLAR筋注用キット電子添文1)
14.2 薬剤投与時の注意
(抜粋)
14.2.4 注射部位をもまないように患者に指示すること。
サンドスタチンLAR筋注用キットは、オクトレオチド酢酸塩を内包したマイクロスフェア型徐放性製剤で、筋肉内に投与することにより、そのマイクロスフェアからオクトレオチド酢酸塩が徐々に放出され、4週間に1回の投与で従来の注射液と同程度の効果が得られる設計になっています2)。
注射部位をもむことにより薬物動態に影響を及ぼす可能性があるため、サンドスタチンLAR筋注用を投与を続けている間は、患者へ注射部位をもまないように指導してください3)。
(参考)
1) サンドスタチンLAR筋注用キット電子添文 14.2.4
2) サンドスタチンLAR筋注用キットインタビュフォームV -3(1)解説
3) サンドスタチンLAR筋注用キットインタビュフォームⅧ-11.適用上の注意14.2.4(解説)